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441 :名無しの紳士提督:2015/07/19(日) 23 10 28 ID h69sGV4I 夏服の艦娘の悩み 「衣替えしてから明らかに提督がよそよそしい」 「提督が常に前屈みでとても辛そうにしている」 442 :名無しの紳士提督:2015/07/20(月) 16 14 01 ID ewpME9kc 短めっつーか1レスだけど大淀さんで。禁欲提督ってアイディアいいよね… 執務中に水着を見せびらかしに来た第七駆や天龍に愚息が反応してしまい、椅子から立ち上がることができなくなった。 大淀「提督、そろそろお昼にしないと食堂が閉まってしまいますよ?」 提督「…すまないがここ(執務室)まで運んでもらえないかな、ちょっと立て込んでて」 大淀「そうですか? 私が見たところむしろ普段より進んでいたような…」 手元の書類を覗き込むように顔を近づける大淀。流れる黒髪からはシャンプーに混ざったほのかな女の子の匂いが鼻孔をくすぐった。無防備な胸元からは白い小振りな乳房とラベンダー色の下着が見え隠れしている。 提督(い、いかん… ここ最近ろくに処理してなかったから大淀の貧相な胸でも股間に来る!) 大淀「提督、どうしました? 顔が赤いですけど、風邪ですか?」 提督「え、いやこれは」 大淀「少し失礼しますね、んっ…」 前髪を掻き分けると大淀はこつんと額を合わせた。互いの吐息が感じられる距離に思わず全身が硬直する。大淀の瑞々しい唇と美しい鎖骨のラインから目が離せない。 大淀「…やっぱり、少し熱っぽいような…」 提督「そうか… 医務室から薬を貰ってきてくれないかな、少し休んだらまた執務に戻るよ」 大淀「あまり無理はなさらないで下さいね? さっきも言いましたがお仕事は順調ですから」 執務室から退出する大淀を見送ると、提督は大きなため息をついてぐったりと机に突っ伏した。 提督「…ちょっと出ちゃった…」 443 :名無しの紳士提督:2015/07/20(月) 17 17 58 ID smtx2ctc GJ! 昂ぶってるおかげで普段まったく性的に意識してない娘に欲情するのって良いですね
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大艦巨乳主義 戦艦娘 戦艦娘金剛型 扶桑型 伊勢型 長門型 大和型 Bismarck Vittorio Veneto級 コメント [部分編集] 金剛型 金剛×榛名1-270 ほろよい霧島さんとヤンキー提督1-406 提督×金剛、扶桑、千歳、千代田、加賀1-435 提督×不知火、初春、伊58、霧島、天龍、涼風、愛宕、ヴェールヌイ1-564 提督×金剛1-587 長門(ふたなり)×金剛型四姉妹、由良(ふたなり)×加賀、北上(ふたなり)×五十鈴1-740 提督×榛名2-350 金剛四姉妹ネタ2-323 提督×金剛、提督×比叡2-768 提督×比叡、金剛3-74 提督×伊58×霧島3-650 提督×榛名6-278 提督×霧島6-365 榛名のために7-67 提督×金剛、あきつ丸8-543 提督×金剛「Burning expand」(アナル拡張・和姦)18-484 非エロ 非エロ:金剛と比叡2-798 非エロ:提督×金剛2-825 非エロ:提督×比叡5-829 非エロ:提督×榛名6-707 非エロ:提督×榛名3-82 非エロ:金剛姉妹7-496 非エロ:提督×比叡、金剛1-42避 非エロ:提督×榛名1-871避 非エロ:提督×比叡16-43 非エロ:提督×金剛 Mk.7&アイオワ実装のニュースを聞いて思いついたネタ 18-649 小ネタ 小ネタ:変これ仕様書 金剛編1-268 小ネタ:第七駆逐隊、神通、誕生日、榛名3-477 小ネタ:榛名と霧島13-206 小ネタ:金剛→提督×比叡15-849 [部分編集] 扶桑型 提督×扶桑1-340 提督×山城、扶桑1-358 屋根直してくる(提督×扶桑)2-520 提督×金剛、扶桑、千歳、千代田、加賀1-435 提督×扶桑、山城 鳳翔1-645 提督×扶桑4-589 提督×扶桑1-628避 『元提督、戦艦山城について語る』提督×山城13-643 提督×山城14-807 提督×山城14-827 提督×山城14-866 提督×山城14-922 提督×山城15-11 扶桑型→提督×伊勢15-839 山城×模型、清霜16-253 非エロ 非エロ:提督×山城15-224 小ネタ 1-22扶桑姉妹 小ネタ:扶桑、山城1-446 [部分編集] 伊勢型 提督×伊勢4-212 提督×日向2-445 提督×日向9-622 提督×伊勢14-714 提督×伊勢型15-133 扶桑型→提督×伊勢15-839 提督×日向「伊勢型ジュウコンカッコカリ_01」18-107 提督×伊勢「伊勢型ジュウコンカッコカリ_02」18-332 非エロ 非エロ:提督×伊勢1-539避 小ネタ [部分編集] 長門型 提督×長門4-173 提督と吹雪、摩耶、長門3-46 長門(ふたなり)×金剛型四姉妹、由良(ふたなり)×加賀、北上(ふたなり)×五十鈴1-740 提督×長門3-122 提督×長門5-765 提督×長門7-440 提督×長門7-617 長門8-46 中年オヤジ提督×陸奥2-51 スターリン(提督×長門)10-86 長門×卯月1-876避 アニメを見たながもん15-776 アニメを見たながもんその2 16-79 非エロ 非エロ:長門2-645 非エロ:提督×長門5-338 小ネタ 小ネタ:よりどり陸奥16-467 [部分編集] 大和型 提督×大和7-281 提督×大和11-180 武蔵×提督5-279 提督×武蔵12-36 大和×慰安夫 東「鎮守府慰安労働大和編」中編16-230 大和×慰安夫 東「鎮守府慰安労働大和編」後編16-242 提督×教室の艦娘達16-754 大和×慰安夫 東「鎮守府慰安労働 IF編」17-582 非エロ 非エロ:大和14-65 非エロ:大和×慰安夫 東「鎮守府慰安労働大和編」後編16-242 小ネタ 小ネタ:青年・大和15-553 [部分編集] Bismarck スターリン(提督×ビスマルク)7-136 提督×ビスマルク17-19 非エロ 小ネタ:ビスマルク 18-289 小ネタ 小ネタ:ビスマルクで少佐演説パロ レスまとめ レスまとめ:ビスマルク「○ーメン美味しい」 [部分編集] Vittorio Veneto級 ローマの惚気話 16-810 リットリオの惚気話 16-817 非エロ 小ネタ コメント 最新の30コメントを表示しています。 「教室の艦娘達」は軽巡洋艦大淀の方にいれるべき -- (名無しさん) 2016-01-09 01 20 27 名前 コメント すべてのコメントを見る ここを編集
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4-2-1 赤道直下とはいえ流石に夜になると涼しい風が吹く。 煌々と光る13夜月の月光が眩しいくらいに見える。 月明かりを楽しみたいため照明は抑え目にしている。 開け放した窓から入る風に含まれる潮の香が男の心を擽る。 ―やっぱり、俺は海が好きなんだな。 柄にも無くロマンチックな気分になっている自分に苦笑する。 そして、高まる胸の鼓動が緊張からもたらされるものであることに改めて気づかされる。 ―やれやれ、これじゃ童貞だな…昔はバーって言ったんだっけか。 帝国海軍の将帥に憧れ、それに近しい立場になった男は、それ故か妙に帝国海軍士官ぶりたがる傾向にあった。 その割に完璧に士官ぶれて無いところがこの男-提督の長所でもあり短所でもあった。 これから一人の艦娘が彼の私室を訪ねてくることになっていた。 夜、艦娘が独りで自室を訪ねてくる。 それ自体は特に珍しくも無かった。 だが、今晩訪ねてくる艦娘は特別だった。 大日本帝国海軍一等巡洋艦妙高型4番艦「羽黒」。 かの大戦では蘭印攻略戦を皮切りに、サンゴ海、ミッドウェー、ソロモン、マリアナ、レイテと勇戦し大戦最後の水上戦で倒れた勇者。 幸運艦、武勲艦の名を欲しい儘にし幾多の海軍士官下士官兵に愛された傑作重巡。 その魂を継いだ艦娘が彼の部屋にやってくる。 恐らくは彼と契りを結ぶために。 そして、彼は彼女を武勲艦だから愛しているのではない。 セミロングボブの黒髪も、いつも八の字気味の眉も、伏し目がちの大きな目も、少し猫背気味の姿勢も。 引っ込み思案なところも、仲間思いなところも、芯の強さも。 気が付けば彼女の全てに彼は恋をしていた。 ―恋、しているのか?俺は! ぶふっ、と変な息を漏らしてちゃぶ台に提督は突っ伏しながら赤面した。 いい歳を恥ずかしい、とは思うが短くない人生経験からしてこれは間違いない。 部下に恋するなど、まして自分よりも随分と年下に見える娘に恋するなど思ってもみない事だった。 「ふふ、道理で、緊張するわけだ」 顔を上げると口に出して笑いがこみあげてきた。 恋する彼女との初めての夜。 リラックスできるほど彼は男前では無かった。 キッチリ決めた二種軍装。オーデコロン。髪もしっかり整えた。 無論、既に入浴を済まし念入りに体も洗ってある。 笑えるぐらいの童貞力である。 それほどに彼は羽黒に恋をしていた。 時計は2155。 私室をノックする音が響いた。 「誰か?」 扉の向こうに誰がいるのかはわかっていたが、平静を装うため誰何の声をかける。 「羽黒です、宜しいでしょうか?」 大きくも小さくも無く、ただ静かだが強さを感じる声が返ってきた。 彼の恋してやまない、彼の心を沸き立たせ、不安にさせ、切なくさせる声が。 「入って宜しい」 4-2-2 扉が開き、廊下の微かな灯りを背に受けた細いシルエットが浮かんだ。 セミロングボブの髪に銀色の髪飾り。 朱の射した顔に大きな瞳と可憐な唇。 そして、普段の妙高型お揃いの制服と同じ色の和服。 月光に冴えるたおやかな菫のような美しさに提督は息を飲んだ。 「…あの、司令官さん?」 普段の気弱気な羽黒の声で提督は我に返った。 「あ、いや、ごほん。どうぞ」 鯱ばって立ち上がると羽黒を中に招き入れる。 井草の畳に戦艦長門の模型を飾った箪笥と障子にちゃぶ台。 最近、戦果で手に入れた改修予算を一気に使って和風を好む彼は部屋を完全に和装に整えていた。 ホテルを改装した天井の高い鎮守府の部屋にいささかミスマッチではあったがここが落ち着くという艦娘も少なくない。 羽黒は出された座布団に静々と座った。 ちゃぶ台を挟み向かいに座った提督はまんじりともせずその姿を呆然と見つめた。 ―綺麗だ。 暫く沈黙が続いたが、緊張感に耐えられなかった提督は口を開いた。 「その、似合ってるな。その菫色の和服」 「……ありがとうございます」 はにかむように羽黒は上目づかいに微笑んだ。 「妙高姉さんが選んでくれました。その、司令官さんのお部屋にはこの服が合うって」 そう言って羽黒は頬を染めた。 『そうそう、和服の方が殿方は色々と致しやすいし、誘いやすっ、げふ』 と力説する足柄を那智がひじ打ちをして黙らせた事は黙っている。 ―はぅぅ、き、緊張するよぉ 誠意一杯の勇気を振り絞って提督の部屋に来たものの何をどうしたらよいか見当がつかない。 ―そうだ、お酒。那智姉さんありがとう。 『お互いいける口なんだからこれを持っていけ』 と那智から渡されたのは山形の銘酒《羽黒山・純米吟醸》の四合瓶だ。 『あ、あ奴は吟醸が好きだから…』 頬を染めそっぽを向きながら酒を渡す那智。 上がり症な羽黒と妙なところで口下手な提督の事を考えての事なのだろう。 那智の心中が複雑なのは羽黒も理解できた。 提督は那智にとって飲み仲間であり、想い人でもある。 妹が本懐を遂げられるのは喜ばしいが、焼きもちも同時に焼いてしまう。根が素直な那智の顔にありありとそう書いてあった。 妙高が酒瓶を丁寧に包んでくれた。 『羽黒。あんまり飲ませちゃダメよ』 明日は土曜日。とは言え鎮守府は現在、難関海域を攻略中であり土曜日といえど課業は普通にある。 深酒をさせて鎮守府の運行が滞っては、現在の秘書艦である妙高の立場も無い。 『そうよぉ。飲み過ぎると提督も若く無いから、いざっ!て時に、勃たないかっ、うぼぁ』 余計な事を付け足そうとした足柄の水月に那智の拳がめり込んだ。今夜提督と夜を過ごせない八つ当たりが20%くらい入っていただろう。 4-2-3 「あの、司令官さん。こ、これ。い、一緒に飲みませんか」 「ん?おお、羽黒山の純米吟醸じゃないか!羽黒、ありがとう」 そう言うと茶箪笥から取り出した湯呑茶碗を二つ並べた。 「肴、肴は~。はは、こんなのしかないか」 そう言って取り出したのは、携帯糧食のイワシの缶詰だ。 「本当は暖めた方が旨いんだけどな~」 うきうきとイワシ缶のふたを開け、割り箸を二膳、ちゃぶ台に置いてから提督ははたと気づいた。 羽黒をほったらかしにしていた事を。 「す、すまん羽黒。久しぶりの吟醸酒だから浮かれちゃって…」 ちゃぶ台の向こうにちょこんと座った羽黒に真剣に頭を下げる提督。 日本酒を前に浮かれモードの中年士官をポカンと見ていた羽黒だが、やがてクスクスと笑い出した。 「司令官さん、お酒が大好きなんですね」 「へっ?……いやぁ、恥ずかしいところを見せたな」 羽黒が怒っていないと気づき、頭をポリポリと掻く提督の前に湯呑茶碗が出された。 「お一つ、どうぞ」 「ああ、すまない。いただこうか」 羽黒は嬉しかった。 普段から厳格というには程遠い提督ではあったが、こんなにくだけた姿を見るのは初めてだった。 それだけに彼に一歩近づけた気がした。もっともっといろんな彼を見たい、知りたい、近づきたい。 一緒にいたい。 少なくとも今夜、彼の最も近しい場所にいるのは自分なのだ。 勇気を出して良かった。 応援してくれた姉妹や鎮守府の仲間に感謝しながら茶碗に美酒を満たしていく。 「ど、どうぞ」 「羽黒も飲めただろ、さぁ」 恐縮する黒髪の艦娘がそっと茶碗を差し出した。 羽黒と二人きりで飲む。 今まであるようで無かったシチュエーションだ。 欠けていた時間を埋めるよう酒が満たされていく。 「じゃ、乾杯」 4-2-4 「か、乾杯」 茶碗をかかげると提督は一気にそれを煽った。芳醇な香りの液体が喉を下る。 本来なら一口含んでじっくりと胃の腑に落としていくのが良いのだろう。 しかし今は、乾杯、その言葉の通り盃(茶碗だが)を乾してしまいたい衝動を抑えることはできなかった。 緊張とそれを上回る高揚感。目の前にいる艦娘と二人の時間を持てた事が提督には嬉しかった。 菫色の衣に身を包んだ羽黒が酒瓶を掲げて待っていた。 咳払い一つしてそっと茶碗を差し出すと慎重に酒を注いでくれる。 紗で織られた和服の菫色と羽黒の白い肌が絶妙な色気を醸し出す。 袂からチラリと見える脇と胸元の合わせ目につい目が行ってしまう。 いつも猫背気味なので、気が付かなかったがそこそこのボリュームをそこは主張していた。 「あの……や、やっぱり、気になりますか?」 ひょいと顔を上げると赤面した羽黒と目が合った。 恥ずかしがりやの彼女は普段ならこんな表情の時は目線を逸らしているところなのだが、今日の羽黒は違った。 男の方が赤面しながら恐縮して先に視線を逸らしてしまった。 「い、いや…その、なんだ、気にならないと言えば嘘になる」 ちびりと酒を口にする。妙に喉が渇く。 「……羽黒。こんな近くで君を見た事が無かったから」 茶碗をちゃぶ台に置くと羽黒の傍らに座る。 「綺麗だよ、羽黒。気付かなくてゴメン」 恋する男の顔がすぐ隣に来て羽黒の心臓は一瞬ドキリとする。 普段なら尻尾を巻いて逃げ出してしまうのだが、今日の彼女は違っていた。 羞恥や怯懦よりも彼への思慕の念が勝った。 「私も……司令官さんの顔、こんなに近くで見るのは初めてです」 そう言って彼女は瞳を閉じた。 提督は羽黒の肩に手を置いた。一万㌧重巡娘とは思えないほど細く柔らかな肩。 そのままそっと己が胸に寄せると唇を重ねた。 薄明りの和室に二人の影が重なる。 二種軍装に重なった和装の菫色が薄明るい灯りの下で静かに揺れる。 「んっ、はー……はぁはぁはぁ、しれい、官さん、んんっ」 長い接吻で苦しくなった息を継いだ羽黒だが、提督の顔をほうと見つめると自らその唇に口づけた。 ―司令官さん、司令官さん……。 ずっと恋焦がれていた男の唇は思っていたより熱くて強くて、切なかった。 ―離したくない。このまま時間が止まってしまえばいいのに………。 「んふっ、ちゅちゅちゅ、んんっ、ふぁ、んちゅ」 4-2-5 「んっ、はぁ、はぁはぁはぁ、羽黒っ、待った」 執拗に唇を求める羽黒をそっと引きはがし提督は荒い息をついた。 「はぁはぁはぁ。はー、慌てないでくれ。俺も我慢できなくなる」 こつんと羽黒の額に自らの額を合わせ提督は苦笑いする。 彼とて思い焦がれた羽黒との接吻に興奮しないわけは無かった。 「あ、あの…ごめんなさい」 いつもの口癖が羽黒の口から洩れたが、いつものように顔を俯けてはいなかった。 羞恥に染まった真っ赤な顔を提督に向け精一杯の笑顔を作って見せる。 「が、我慢しないでください……羽黒、精一杯頑張ります」 「……羽黒っ」 男に我慢などできるはずも無かった。そのまま、ぎゅっと羽黒を抱きしめる。 「きゃっ、し、司令官さん?」 「羽黒、我慢しないぞ?いいな」 こくりと頷いた黒髪の娘の手を取った提督は彼女を夜具の上に導いた。 4-3-1 菫色は不思議な色だ。 楚々として清らかなイメージと蠱惑的で妖艶なイメージが混在していた。 夜具の上に横たわった羽黒が正にそうだった。 はだけた襟から上下する白い膨らみが垣間見える。 浅黄色の帯でくくられた腰は程よく肉付いてまろやかな曲線を描いている。 乱れた裾から伸びる足は陳腐な表現だが白魚のように美しかった。 思わずごくりと喉が鳴った。 そのままもう一度口づける。 「ん、んっ?、はぁぅ、ちゅ、れろ、ふぅんっ」 今度のキスは文字通り遠慮は無かった。 可憐な唇を割り開いて提督の舌が羽黒の口に侵入する。 閉じていた前歯をそっとノックするように優しく愛撫するとゆっくりと口腔が広がった。 そっと舌と舌を逢わせるとびくりと舌が震える。 あまりにも予想通りの彼女らしい反応が微笑ましい。 そのままゆっくりと舌を絡めると羽黒も合わせるように舌を絡める。 熱く湿った肉のうねりと時折ふれる奥歯の硬質の滑らかさが心地よい。 提督の舌と共に送り込まれる唾液をごくりと飲み込むと胃の中から体中に熱が伝播していく。 「ふぅ、んふぅちゅ、ちゅちゅ、んちゅ、ふぁ、れろ」 提督は羽黒の口内を堪能するとゆっくりと彼女の舌を自身の口内に引き入れる。 おずおずと提督の中に侵入した羽黒の舌は柔らかく提督の口内をくすぐり始める。 前歯、奥歯、歯の裏、歯茎、唇の裏側、舌の付け根、次第に動きは大胆になっていく。 口と口での愛撫を続けながら、提督の手が袖から胸に侵入する。 「んちゅ、ちゅ、ん、んんっ?ふぁっ司令官さん?」 「すまん。でも、我慢できないって、言ったろ」 肌襦袢の下にたどり着いた手がふわりと膨らみに触れた。 下着に抑えつけられていなかったそれは柔らかく弾力した。 「あっ、やっ、んん」 柳眉を八の字に寄せて羽黒は思わず声を出してしまう。 初めて男の手に触れられた乳房が熱い。 「や、んん、ふぅんっ、くぅ、あはぁ、ん」 ―恥ずかしくて顔から火が出そう。でも、気持ちいぃ。 肉欲に浮かされ始め頭の芯がぼんやりとしてくる。 それでいて体の感覚はより敏感になって痺れる様な快感が広がる。 4-3-2 「羽黒、脱がせるよ」 ぼんやりとする頭でセミロングボブの髪が頷いた。 緩んだ帯をそっと外し、下帯を解く。肌襦袢を開くと白い裸身が現れた。 きめ細やかな雪肌が羞恥と情欲でほんのりと桃色に染まっている。 細身の体はその名を持つ重巡洋艦の最上甲板が作る曲線のように優美かつ引き締まっている。 華奢な印象の肢体に比べて、乳房はふっくらと盛り上がりピラミッド型に配置された前部主砲群のように存在感を主張していた。 当然のことながら主砲塔とは違いあくまでもなだらかで柔らかな双乳の先は桜色に色付いた乳首がツンと上を向いている。 荒い息で上下する初々しい乳房と相反して、贅肉のついていない腹部はなだらかだ。 縦に窪んだおへそがチャーミングなアクセントに見える。 飾り気のない白い下着が安産型の尻を包んでいる。 そこから伸びる白い太腿が内股に閉じられて淫靡さを醸し出している。 「羽黒、綺麗だ……本当に綺麗だよ」 戦場から帰ってくる艦娘達の中には艤装だけでなく着衣が大きく損傷している娘もいる。 羽黒も例外ではない。むしろ他の艦を庇って被弾し中破状態で帰港してくる事が多い。 不謹慎ながら、破れた着衣の隙間からそのプロポーションを邪推してしまったことが無いと言えば嘘になる。 しかし、眼下に輝く裸身は提督の陳腐な想像をはるかに超えた美しさだった。 提督の手が無意識に桜色の頂を持つ果実に伸びた。 「やっぱりダメ、恥ずかしぃ、です……そんなに、見ないで」 消え入りそうな声で羽黒は羞恥を告げる。 顔を真っ赤にした羽黒がおずおずと胸を隠そうとする。その手を提督は柔らかく抑えた。 「ダメ……見たい。今夜は羽黒をもっと知りたい」 そう言って乳房に指をめり込ませる。驚くほどしっとりと柔らかな肉が提督の指を包む。 少し指先に力を入れると乳肉は優しく押し返してきた。その肌触りと弾力に提督の欲情が高まる。 「あぁ、ダメ、んんん…しれぇ、官さぁん、はぁ、くぅん」 乳房を手のひらで包むように揉まれると愉悦の波が広がり、羽黒の全身に痺れる様な快感が響いた。 興奮から体積を増した白桃は提督の指に吸い付く様に弾み、その度に羽黒の口からすすり泣くような吐息が漏れる。 快感で意識がぼぉとなり、汗が噴き出す。しっとりと濡れた裸身が快楽に踊る。 「羽黒、痛くないか?」 「んぁんっ、は、はぃ。大丈夫、です、んんっ」 「じゃあ、こっちはどうだい?」 先端で切なげに揺れていた桜色の乳首を提督がクリクリと捏ねた。 既に硬く尖っていた乳首から全身に鋭く快感が走った。 「ひぅっ、あはぁぁんっ、やめぇ、はうぅぁ、はぁんっ」 一際大きな嬌声が和室に響いた。同時に提督はタガが外れたように羽黒の乳首に吸い付いた。 チュウチュウと敏感な突起を吸い、ぞろりと舌の腹で舐る。コリコリとした感触がなんとも心地よい。 口による愛撫を免れていたもう一つの蕾も提督は逃さない。 指の腹で優しく、時に強く弾く。増々硬度を増した尖りを乳肉に押しつぶしてはやんわりと引っ張り上げる。 4-3-3 「やっ、あはぁん、しれぇ、だめぇ、あはぁ、んっんん、あぁぁぁん」 乳房全体が熱く疼き、男の欲望に翻弄される桜の花芯は強烈な快感を全身に響かせる。 今まで感じた事のない快感が羽黒を責めたて、溶かしていく。 顔だけでなく首筋まで赤く染める羽黒の痴態に提督の隠れていた嗜虐心に火が付いた。 なだらかな腹をそろりと下り、いきなり純白の下着に包まれた秘苑を撫であげた。 「ひうっ、やあ、それ、はぅぅぅぅんっ」 「えっ?羽黒。お前、もうこんなに」 撫でた指先に纏いついた湿り気に提督は驚いた。湿り気というよりもそこは既に溢れる蜜でしとどに濡れていた。 「はぁはぁはぁはぁ、しれぃか、さん……私、こんな感じ、初めて」 「……嫌だったか?」 打ち続いた快楽の波で四肢の力を失い、荒く息をつきながら羽黒は喘ぎながら頭を振った。 桜色の頬に涙が伝う。チュッと提督の唇が雫を吸い取った。 そうしてから羽黒を全身に抱き寄せ耳元で呟く。 「じゃあ、もう少し羽黒のかわいいところを見せてくれ」 そういうと下着に指を滑り込ませ、ヒクつく秘裂を撫で上げた。 「あっ、いきなりっ、ダメぇ、んっ、ぁぁぁっ」 くちゅりと水音を立てて愛液が指の隙間から零れる。くちゅくちゅと探るように蠢いた指先は硬いコリコリとした器官を探り当てた。 既に包皮から頭をもたげていたそれを提督はくるりと指先で撫でた。 そのとたん羽黒の脊髄を鋭い快感が駆け上がった。 「ふあぁぁぁっ、そ、そこぉ、らめぇ、い、いきなりは、あぁぁぁぁぁん」 背筋を弓なりにして喘ぐ羽黒の裸身を片手で抱きながら、提督はもう一方の手で更にクリトリスを責めたてる。 指先で突起を摘まみすり合わせたかと思うと指の腹でグリグリと押し込む。 突起の根元から扱くように指を上下させ、先端をクリクリと弄り回す。 執拗に陰核を責めながら、唇で羽黒の全身にキスの雨を降らせる。 「ひぁっ、い、いぃ…そこぉ、すごぃ、そんな、の、あはぁぁぁぁんっ」 桜色の首筋、綺麗に窪んだ鎖骨、羽黒が喘ぐたび揺れる乳房、充血してぷっくりと盛り上がった乳輪、愛らしく形を変える臍。 それは愛撫というよりも食事だった。 飢えを満たすために一心不乱に獲物を貪る肉食獣のように届く範囲全てに唇で、舌で、提督は羽黒の全身を味わう。 生きたまま食事に供される娘には激痛の代わりに快楽が全身を支配していった。 そして、肉食獣の共演はクライマックスに向かおうとしていた。 連続する細かいオルガスムスで汗みずくの羽黒を提督は布団にそっと横たえる。 自ら着衣を全部脱ぎ去ると放心したかのような羽黒に口づけた。 「羽黒、いくよ……いいかい?」 「は、はい……司令官さん、私で良ければ」 4-3-4 ぐしょ濡れになった下着を取り去ると露に濡れた叢が現れた。少し大きめの大陰唇と小さくヒクつく小陰唇が淫靡に男を待っているかのようだ。 羽黒の足の間に体を入れた提督は己の切っ先を花弁にあてがった。触れた先端から女の胎内の熱さが伝わる。 そのままゆっくりと肉棒を羽黒に沈めていく。 亀頭が女肉をかき分けずぶずぶと奥に入る。 「くうぅっ、んんんんっ、はぅぅぅぅぅんっ」 固く目をつぶった羽黒は両手で布団を握りしめ衝撃に耐える。肉槍の膨らんだ先端が胎内を擦る感覚に羽黒は喘ぐ。 ゆっくりと挿入された男根を羽黒の可憐な秘孔は全て飲み込んだ。 ずんっと打ち込まれた提督自身が自身の胎内にあると胸の奥がほわっと暖かくなると同時に下半身が疼いてしまう。 「ん、くぅぅぅ、はぁはぁ、し司令官さんで、いっぱい、んん」 提督は羽黒に口づけた。そのまましばらくお互いの唇を啄み合う。 唇を重ねたままゆっくりと提督の腰が律動を開始した。 ぬちゅぬちゅと結合部から淫猥な音を出しながらペニスが羽黒の膣を擦り上げる。 亀頭の裏を擦っていく肉襞の感覚が提督の脳を焼く。 白熱する快感がを追い求めるように提督の腰の動きは加速していく。 びっちりと肉棒を咥えこんだ肉壁を押分けると羽黒の内臓が亀頭に絡みつきその精を搾り取ろうとしているように騒めく。 「ぐっ、は羽黒。すごい、気持ちいいよ、んん」 脳を焼く蜜壺の肉感に支配されて提督はひたすらに羽黒に腰を打ち付ける。 ずりずりと亀頭冠が膣壁を擦り、胎内を掻き分け侵入してくる。その度にゾクゾクとした快感が腰に走る。 特に膣口の裏側辺りをごりっと亀頭が通るときには頭の中が白くなるような快楽が体を貫いた。 膣壁全体で感じる肉棒の熱さと硬さが羽黒の心を満たす。 「ふあっ、あはぁんっ、しれぃかん、さん、来て、もっときてぇ」 手を上げて抱擁をねだる羽黒を抱きしめる。自身の胸板の下で柔らかく潰れる乳房の感覚が欲情を更に高める。 そのまま唇を奪うと舌を吸い上げる。羽黒も積極的に舌を絡め、ごくりとお互いの唾液を嚥下し合う。 息継ぎのため羽黒が口を離した隙に提督はたぷたぷと揺れる乳房にしゃぶりついた。 乱暴に舌でぐりぐりと乳首を舐り、唇で乳房を甘噛みする。 乳肉に刺激が与えられるたび、乳首が弄ばれるたび、愛液で滑る膣壁が男根をきゅっきゅっと締め上げた。 「あはぁっ、気持ちイイです……おっぱいも、おまたも、きもちいぃですっ」 「羽黒、俺も気持ち、イイよ。すごい、熱いっ」 愛液まみれの肉棒がトロトロに溶けた肉壺に入るたびに淫猥な水音がくちゅくちゅと響き、遅れて下腹と恥丘がぶつかり合うパンパンという音が続く。 提督の激しい息遣いと羽黒の恥ずかしげな嬌声と併せて二人の興奮を高めていく。 膣全体がペニスを包むように食い締め、ペニスはいよいよ硬度と体積を増し羽黒の胎内を圧迫する。 「羽黒、限界だ……いくよ」 4-3-5 「は、はいぃっっ、私も、もう、きちゃうっ」 強烈に腰を動かして羽黒の最奥にペニスを差し入れると提督は引き金を振り絞った。 溜りに溜った精液が陰嚢から尿道口を駆け上がるのがわかる。 膨れ上がった亀頭から爆発するように白濁液が羽黒の子宮に叩き付けられる。 二度、三度と男根が烈しく胴震いを起こしながら熱い精液を羽黒の胎内に流し込んでいく。 放たれた精液の熱さと衝撃と愛する男の子種が胎内に満たされていく感覚を感じて羽黒も絶頂を迎える。 同時に最後の一滴まで精液を搾り取ろうとするかのように子宮と膣が収縮する。 「はあぁぅぅ、熱っ、しれぃかんさっ、イクぅっっっっ」 提督にしがみつきながら全身をガクガクと痙攣させて羽黒は気をやった。 魂まで吸い取られるような膣壁の蠢動に提督も一瞬、失神しかける何とか踏みとどまる。 最後の力を振り絞り羽黒の横にドサッと寝ころぶ。 力を失ったペニスが膣から抜け、愛液とカクテルされた精液がコポコポと女孔から零れ出る。 ―羽黒、君が艦娘になってくれて、君に会えて、君を好きになれて……良かった。 横で眠る羽黒の裸身を抱き寄せて頬にキスをする。 そのまま愛しい女の体温を感じながら提督も意識を手放した。 … …… ……… 潮騒と海鳥の声に後押しされて艦娘が目を開けると自分の部屋とは違う天井が見えた。 未だ覚醒しない頭のまま、寝返りをうった彼女の視界に入ったのは提督の寝顔だった。 ―ふふ、司令官さんの寝顔、ちょっとかわいい……………へ? 一気に彼女、羽黒の意識は覚醒した。覚醒した途端に昨夜の情事を思い出す。 「あぅっ、昨日、私、司令官さんと……はぐぅぅ」 一気に茹蛸のように赤くなる羽黒。 同時に嬉しさもこみあげてくる。やっと傍にくる事ができた。私の大切な司令官さん。 しかし、同時に不安にもなる。 彼女の司令官さんは「みんなの提督」さんでもあるのだ。妙高型の姉妹を始め、榛名、鳳翔、千歳、雷を筆頭に駆逐艦勢とライバルは多い。 ―まあ、海軍士官さんともなればお妾さんの一人や二人いても当然だし。お妾さんに。 とは思うが、一人や二人で済まないのが現状である。以前の彼女だったら諦めていたかもしれない。 しかし、彼女は諦めない自分を取り戻した。 不屈の重巡洋艦羽黒はその最後まで勇戦敢闘した幸運の重巡なのだから。 けれど油断するな羽黒。 提督を好きな艦娘はこのあともどんどん鎮守府にやってくるぞ。 そして、提督がガキの頃から好きだった軍艦の実装もやってくるぞ。 頑張れ羽黒。 指輪をもらえるその日まで。
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168 名前:2-683 霞[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 07 57 22 ID G9FxYqM2 今の時間は、どうなっているだろう。 どうでもいいか。 深い夜である事は分かる。執務を再開できる気分ではない。 今の自分は砂嵐が吹き荒れる心情にあったからだ。 蹴飛ばしたい衝動を抑え、執務室の扉を開けた。 秘書艦霞はずっと待っていたのか否か私をぞんざいに出迎えた。 霞は普段通りの気を緩めない顔でいるが、私は普段通りの精神状態ではないのだ。 今は霞と口を利く気分ではないのだが、霞からすればそれは関係のない事だろう。 大本営に呼び出された今日の事柄を霞に尋ねられ、私は全てを語った。 この鎮守府が設立されてから目立った戦果がない事を糾弾された事。 艦の犠牲を躊躇しない他の鎮守府を引き合いに出された事。 大本営のその身勝手な態度に、自分は首が飛びかねない程の危ない態度で応戦した事。 それら全てを聞き終えた霞は、私を見上げて歯向かって来た。 「はあ? それで逆切れ? だらしないったら!」 逆切れ? だらしない? 霞の怒号が疲れた身に染みるが、私は霞の言葉を頭で反芻した。 霞の辛辣な言葉は聞き慣れていると自負している筈だが、気が立っている所為なのか稚拙に口が動く。 上の価値観が狂っているから自分はそれを然るべき在り方へ導こうとしただけだ。 それなのに自分が間違っていると言うのか? 霞はあんな事を言う上がおかしいとは思わんのか? 霞は私に、そんな上の人間の犬になれとでも言いたいのか!? 自分は自然と声を荒げていった。 しかし霞は一蹴するように鼻で嘆息した。 「上の人間が発言力のない司令官の戯言を聞くと思ったの? それに、これで左遷でもされたらやり方も何もなくなるでしょ。 そんなことも考えられないんじゃクズ司令官は犬同然よ。馬っ鹿みたい」 ……何だと。 もう駄目だ。我慢ならん。 自分の周りには味方がいないようだ。 秘書艦にさえ自分を否定されたこの時、蔓延っていた黒い感情は爆発してしまった。 全く、上官に向ける言葉とは思えない。霞にはお仕置きと調教が必要のようだ。 霞を蹂躙してやりたい、そのような生意気な口を二度と叩けないようにしてやりたい。 この泥々とした感情を抑えられそうにない。 「っな!」 霞の手をひったくるようにして薄暗い自分の私室へ連れ込む。 邪魔者が入らないよう後ろ手に鍵をかけると、霞はその目に警戒心を色濃く表した。 霞には無意味かもしれないが、目をなるべく鋭くさせて威圧するように見下ろす。 抵抗出来ないよう霞の両腕を痣が残らんばかりに掴んだまま追い詰め、やがて寝具へ押し倒した。 「私に当たる気?」 霞は素行を改めない。 予想は出来ていたが、全く威圧出来ていないようだ。 もしくはこれからされる事が分かっていないのかもしれない。 自分はボタンが破損する事も躊躇わず霞の上部装甲を力尽くで開いた。 その中にある青緑を基調とした装甲をたくし上げると、慎ましいタンクが二つ露わになった。 それの片方を右手でむんずと掴む。 「っ……」 予想に反して霞は大声を上げるどころか唇を硬く閉ざした。 しかし仮に大声を上げたところでここは奥まった提督の私室だし、 ここを出た執務室の壁は防音効果もあるので誰にも聞こえる事はなかろう。 通りすがりの者に聞こえやしないか気を割く必要もない。 目前の霞に集中する。 自分の右手にすっぽり収まる程度の慎ましいタンクは張りが強いのか少々硬めだ。 だが、硬かろうが柔らかろうが自分がこうして昂る運命は変わらなかっただろう。 見た目は人間の少女そのままなのだ。背徳感を煽られる。 目を尖らせる霞の意思は"屈してなるものか"と言う歴戦の勇士のものだろうか。 そんな態度を取るならば、此方としても更に張り合いがあっていいと言うものだ。 空いている左手を口元に持ってきて指を舐ると、それを霞の下部装甲の、またその奥の装甲に潜らせる。 ぴったりと閉ざされている霞の艦内へ、舐った中指をぐりぐりとねじ込む。 「いっ……!」 当然だが霞の艦内は一切濡れていない。 それを見越して指をあらかじめ舐ったのだが、あれだけでは摩擦率の大幅な改善は見込めない。 別段太くない自分の指を一本入れただけなのだが、霞の艦内はとても狭かった。 私の中指を異物と察知して懸命に押し出そうとしてくる。 私はそれに抗うように小さいながらも指を前後に動かす。 この時点で霞の両手は私の束縛から解放され自由になっているのだが、 何故か霞は寝具にしがみついて耐えるだけだった。 おい。痛いだのやめろだの言ったらどうなんだ。抵抗しないならもっと痛い事をしてしまうぞ。 しかし霞は一向に抵抗しようとしない。 霞は今一体何に束縛されているのだろう。 私は霞から両手とも離し、冷めた目で霞を見下ろし、ズボンのファスナーを悠々と下ろした。 自分の動きは慢心と言える程に無防備なものだが、そんな私を霞は鋭い目付きで見上げるだけだった。 霞の下部装甲を捲り、白い装甲を外す手間を惜しんで横にずらす。 「……ひ、ぐ……、っは、ぁっ……!」 慈悲などなしに主砲を突き入れると、霞は声になっていない悲鳴を上げた。 歯を食い縛ったり酸素を求めたりと忙しなく口を開閉させている。 それにしても狭い。きつい。 ふと目を落としてみれば、結合部からは明らかに赤い液体が滲み出ていた。 おいおい。見た目人間のようだと思っていたが、これでは完全に人間ではないか。 霞の血を見て自分の頭から血が引きかけたが、今更やめる選択はない。 全ての鬱憤をこの小さな艦体にぶつけるべく、無理矢理自分を突き動かす。 霞の艦内を何度も力任せに押し広げる。 最早血を潤滑剤とする事で動かす事が出来ている有様だ。 「っ! ぅ、ううっ、ぎっ……」 嗚呼、だが気持ちいい。 小さく無垢な身体を蹂躙すると嫌でも滲み出る背徳感が、征服感が、酷く快感を煽る。 痛い位に、絞るように締め上げる霞の中が、気持ちいい。 一方瞼まできつく閉じ懸命に耐える霞に、真上から影を落として罵詈雑言を浴びせる。 ほら、痛いんじゃないのか。苦しいんじゃないのか。やめて欲しいんじゃないのか。 抵抗してみろ。霞から届く距離にある屑司令官の頬を張ってみろ。霞なら出来るだろ。 出来ないのか? 上官を粗末に扱う何時もの高慢な威勢はどうした!? 何か言ってみろ!! 「……めよね……」 あ? 「惨めよねっ……!」 自分は思わず動きを止めてしまった。 霞は、どこまでいっても霞だった。 外部から駄目出しされて憤慨する自分と、気にも留めない霞。 頭の螺子が飛んだ自分と、ボルト一本抜け落ちなかった霞。 勝手に征服感を感じていた自分と、己を睨み続けた霞。 己を見失った私を、蔑む霞。 "惨め"と言うのが一体誰の事か等、考えたくもない。 「この、どうしようもない、クズ……!!」 霞の目には変わらぬ強い光があった。依然鋭く睨みを利かせてくる。 何故、挑戦的な目を向けてくる? 何故、ここまでされて屈しない? 何故、冷めた目をしていない? 「っ、……!」 自分は目を痛い位瞑って腰を慌ただしく動かし始める。 霞の底知れぬ何かを見、途端に恐怖心を抱いた。 霞の艦内を乱暴に抉って快感を得ようとし、と言うより、射精感を促してゆく。 逃げ道を作る為に、突く。突いて突いて突いて突いて……。 「め、目を見なさっ、この、クズっ……!」 「っぐ……!!」 黙れッ!! 「んんっ!! んや、ぁぁああ……!!」 歯を食い縛り、鬱憤を霞の最奥に掃いた。 暫し肩の荷が吹き飛んだような、ついでに螺子もまた数本吹き飛んだような感覚に支配される。 だが鬱憤を全て射撃し終えた頃、自分は糸が切れたように意識まで吹き飛んでしまったのだ。 …………………… ………… …… 今の時間はどうなっているのだろう。 目覚ましの音を聞く前に目覚めてしまった。 ……夕べの自分は随分と卑猥且つ下劣な夢を見たようだ。煩悩でも溜まっているのかもしれないな。はっはっは。 等と笑っている場合ではない。 その記憶の正体が夢であるならば、昨日自分は何をしていた? 開発、演習、遠征、執務、大本営に呼び出され、駄目出しされ……。 「…………!」 勝手に夢にするな。全て現実だ。 自分は、取り返しのつかない事を……。 いや待て。それなら自分がこうして服装の乱れ一切無く寝具に包まれている筈がない。 軍服のまま眠る習慣はないのだが、多分昨日の疲れでそれすら覚えていないんだろう。 起き上がって時計を見れば、起床時刻前だ。 随分と疲れが抜けた体は良い目覚めだろうが、精神的にあまり良い目覚めでないのは何故だろうな。 起き上がって私室を出ると、執務室中央のテーブルを囲うソファに、霞が腰掛けていた。 「おはよう」 「……おはよ」 霞は私の挨拶にも短くだが応じた。 ちらりと一瞥だけでもくれる霞は何時もと変わらぬ様子に見えた為、自分は安堵した。 やはり昨日のアレは、夢だったのだ。 霞、食堂へ行くぞ。 「もう食べたわ」 もう食べた? なんと早い。 起きるのは私より早くてもいいが、食事位は共にしたいぞ。 しかし過ぎた事を求めても仕方が無い。零れた水は盆には帰らない。 霞は執務を進めると言うので、お言葉に甘えてテーブルに少しの紙の束を置き、自分は食堂へ向かった。 朝の身支度も終わり、その後は自分も執務を進めようと戻った。 その頃には霞は私が提示した少しの執務を全て掃いてしまっていたから優秀だ。 それから暫くは自分の分の執務を進めていたのだが、妙だ。 "ちょっとぉ! この大事な時に艦隊を待機させるって、どういう事なの? ねえってば!" 今日の霞ときたら、いつまで経ってもこのように此方を急かそうとしないのだ。 どうしたかと悟られぬようにソファの霞に視線を向け様子を探る。 ソファに腰掛ける霞は膝上で小さく拳を作り、やや俯いたまま何処も動く気配がない。 おかしい。能動的な霞としては異常だ。 いや、能動的云々の前に像のように微動だにしないので機能停止していないか心配だ。 「霞!」 「っ、……何よ」 良かった。振り向いてくれた。機能停止してはいない。 いないが、反応が普段より遅い。寝ぼけているかもしれない。 自分は執務を取り止め、霞の手を引こうとした。 霞、少し運動しに行くぞ。 「え、う、嘘でしょ、いっ! たぁ……!」 「霞……!?」 自分はそれ程力を入れていない。 霞を立ち上がらせようと霞の手をくいと引っ張り上げただけなのだ。 しかし霞は、立ち上がったはいいが歩く事すらままならずその場で倒れこんでしまったのだ。 自分は咄嗟に屈んで霞を受け止め、床との衝突を回避させた。 だが、霞が苦痛に喘いで下腹部を抑えて蹲るその様子は、自分に良くないものだった。 脳裏に蘇る、夕べの記憶。 自分は霞を座らせ直してから、床に跪いた。 「霞、昨日はすまない……!」 「……思い出したようね」 最初から忘れて等いない。夢だと思い込んでいただけだ。 どうもおかしいと思っていたが、合点が行った。 自分の推測で補完すれば、霞は私が疲労で意識を失ってから後始末を行った。 動くのが困難になった霞は、このソファで眠りについた。 起床した私は忘れていると思い、食事もせずひた隠しにしようと嘘をついた……。 霞、何故責めないのだ。 霞を傷つけたのだ。 この罪はどうやっても償えない。 そうだ。せめて。 「責任を取って切腹を……」 「やめて!!」 私の自責の念は、霞の悲痛混じる大声で遮られた。 思わず顔を上げる。 霞は、見た事もない程顔にその感情を滲ませていた。 「あ……、なんでもないわ」 何故そんな事が言えるんだ。 何故撤回しようとするんだ。 霞は目を逸らして一つ咳払いをしてから、跪く私の目を覗き込むように顔を近づけた。 もう普段通りの吊り目が顔に作られていた。 「馬鹿でしょ。クズ司令官が死んだところで私にした事は消えないし、それに、他の艦の事はどうするのよ」 私より軍に向いているであろう士官なんかごまんといるだろう。 こうして艦娘に当たる自分よりマシな人間が後任に就く可能性は高いはずだ。 それに、死ねば消えると思って言っているんじゃない。 「責任取るって言うのなら、ちゃんと取りなさいよ。死ぬのは逃げの一手にしか見えないから」 それは……。 そういう考え方もできる。 私は納得してしまい閉口せざるを得なかった。 少しの沈黙が流れた後、霞は静かに口を開いた。 「昨日の話だけど、私は、あんたのやり方は嫌いじゃないわ。 私は別に、上の人間に従えって言ってるんじゃないの。 あんたはやり方が悪いんじゃなくて、やり方に見合った実力が足りてないだけ」 「だから、今は黙って私について来なさい。ガンガン行くから」 霞は、よく注意して見ないと分からない程度だが、私には笑っているように見えた。 嗚呼、優しさが身に染みる。少し優しさが過ぎるんじゃないか。 何故そこまで前向きに考えられるんだ。 全く、秘書はこんなにもできた艦なのに、昨日の自分は本当に何本螺子が飛んでいたのだ。 思えば、昨日の霞は単に私を励まそうと、慰めようとしていたに違いない。 自分が勝手に曲解して一人で暴れて霞をとばっちりに合わせただけなのだ。 阿呆だ。海軍軍人最大の阿呆だ。 そんな自分の部下である筈の此奴はこうも変わらず偉そうな口を叩くが、 実際それに見合った実力があるのだ。私とは違うのだ。 最早ついていけるか不安もあるが、ついて行ってやる。 霞らしくなくなってしまうから、待っていろ、とは言わない。 今は霞の背中を追うが、やがては追い付いて肩を並べ二人三脚が出来るくらいまで成長し、 あの憎たらしい大本営に勲章を出させてやるのだ。 私の戦いはまだまだこれからだ! 「司令官、何故今日は霞を負ぶっているのですか」 おはよう朝潮。 いや何、霞は昨日の夜戦で被害を受けてしまってな。 自身では動けないと言うからこうする事で秘書艦と行動を共にしているのだよ。 「ええっ! 霞は大丈夫なんですか!? それなら修復ドックに……」 修復ドックでも治せないんだ。しかしこうして私の背中にいればそのうち治る。 私の背中は特別な修復ドックでもあるのだ。すごいだろう朝潮。一隻限定だぞ。 「へぇー……!」 「朝潮、嘘だから真に受けないでよ」 違うと言うのか。 ならこの背中を降りて修復ドックに浸かるか? この問い掛けに、霞は返事をしなかった。聞こえていない振りか。 こうして私に身を委ねる霞の今の心境は如何ほどのものか。 きっと吐露しようとはしないだろう。 しかし、吐露してくれなくても分かる事はある。 霞は私の首に腕を巻き付けつつも、首が絞まらないように気遣ってくれている。 人の背中に体を預ける以上それは当たり前の事なのだが、 私に身を預ける事に何ら抵抗を示さないだけでも霞は私の事を蔑ろに思ってはいないと言う事だ。 私も吐露はしないが、昨晩あんな事をして置きながら態度を変えない霞が今は愛おしくてたまらなかった。 霞の嘆息をうなじで受けながら、私は霞と朝潮と共に食堂へ向かう事にした。 「あーもう、司令官が出来損ないのクズだと苦労するわ……」 177 名前:2-683[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08 02 55 ID G9FxYqM2 以上 15-188の続きみたいなもんで 霞好きな人を増やしたい 霞だって可愛いところはあるのよ 178 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08 28 19 ID TKrX5a/c GJです! 179 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 10 35 55 ID Kw92rUww GJ。 霞は最近もっとあの隠れ面倒見の良さとか振り返られていいと思う これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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コン……コン。 控えめなノックが、執務室に漂う夜の静寂を打ち破った。 「入りたまえ」 僕は努めてぶっきらぼうに、ドアの向こうの気配へと声をかける。 「て、提督、失礼……します」 おどおどした様子のひとりの少女が、月明かりだけが照らす執務室の扉を開いた。 「い、磯波……です。ご、ご命令により……出頭いたしました」 消え入りそうな声で彼女は名乗り、執務室の入り口で敬礼をした。 僕が黙って頷くと、磯波は真鍮のドアノブを回し、静かに扉を閉めた。 しばし僕は、青白い月の光に浮かぶ磯波の姿をしげしげと観察する。 穏やかな波間を思わせる、三つ編みの黒髪。日々、遠征の任に駆り出されながらも白さを保つ若々しい肌。 膝より少しだけ高い、吹雪型のセーラー服から垣間見える、柔らかそうな太腿――。 普段彼女が足を踏み入れることも、いや、直接的に話したことさえも殆どない僕の部屋に 招かれた彼女は、いつにも増して小さく、儚く見える。兵装が完全に解かれている今は尚更だ。 現に、この部屋の中にいるのは磯波と僕だけだというのに、彼女は一向に僕と目を合わせようとしない。 照明が完全に落とされた執務室の中、磯波の長いまつ毛の奥にある瞳は、内股に寄せられたブーツへと 所在なさげに落とされたままだ。 ふぅ、と僕が大きくため息をつくと、それだけで磯波は細い肩をぴくっと躍らせた。 それでも僕は黙ったまま、磯波に更に視線を注ぎ込む。 「……ぅう」 磯波は、吹雪型が揃って纏うセーラー服の胸元の紐をいじりながら、チラチラと僕を見た。 僕からの一言を引き出そうと、必死のようだった。 海から吹き込む穏やかな風が窓から吹き込み、白いカーテンを揺らす。重たい空気の中、 時が確かに進んでいることを示すかのように。 だが、それでも僕は革張りの椅子に深く腰をかけたまま、彼女をじっ……と見つめたままだ。 磯波は、震えているようにさえ見えた。 「あっ……あのう……提督」 部屋の隅と僕の間を、まるでげっ歯類の動物のように素早く、しかし居場所なさげに視線を 揺らしながら、磯波がようやく唇を開いた。 「磯波に……何かご用でしょうか?」 彼女がこの鎮守府に配属されて2週間。僕は初めて、その声をまともに聞いたような気がした。 それは、本当に女の子らしく、か細く……そして消え入りそうな声だった。 仮に月が雲に隠れていて、磯波の実体が目の前に映し出されていなければ、耳に届いてさえ いなかったかもしれない。 磯波はそれ程までに控えめな声で、ようやく言葉を口にしたのだった。 僕はその声の余韻を耳に感じながら、彼女を手招きする。 部屋に入ってからというもの、一歩たりとその場を動かなかった磯波が、ようやく小股で 執務机へと近づいてきた。しかし絨毯が敷いてあるとはいえ、足音がほとんどしない。 意識的に音を殺しているのだとすれば、どれだけ自分に自信がないのだろうか。 ――もっとも、僕が彼女をこの部屋に呼んだ理由は、まさにそれなのだけど。 磯波は思った通り、執務机の前にたっぷり1メートルの間を取って、僕の正面に立った。 僕からは机を挟んで、ほとんど2メートルも離れていることになる。 「はぁ……」 予想はしていたことだが、僕は思わず2度目のため息をつき―― 「磯波?」 ようやく彼女の名前を口にした。 優しく名前を呼んだつもりが、彼女は身体を強張らせ、両目をぎゅっと閉じてしまった。 言い訳もできず、叱られるのを待つだけの子供のようだ。 「自分がどうしてこの部屋に呼ばれたか、分かっているかい?」 首を縦にも、横に振るでもなく、ますます磯波は体を小さく、固くしてしまう。 僕はほの暗い中、デスクの書類受けに手を伸ばした。 「磯波、配属されてどれくらいになった?」 「えっ?」 「二週間だ」 忠実な秘書艦娘が纏めた数枚のレポートをぱらぱらと捲り、そのうちの一枚を彼女の方へと差し向ける。 「見たまえ」 磯波はまるで危険な生き物にでも触れるかのように、コピー用紙におどおどと手を伸ばす。 暗闇の中では読みづらいのだろう、柔和そうな垂れ気味の目が細められ、書類を走った途端―― 「あ……ぅ……!」 磯波は驚愕とも恐怖ともつかない顔になり、そのまま硬直した。 「それは君の、ここ二週間の成績を纏めたものだが、見てのとおりだよ。残念ながら 、先輩諸氏のような戦績を残せてはいない。遠征にしても、作戦にしても、だ。分かるね?」 「は……はい……」 磯波はがっくりと肩を落としたまま、細い首を小さく縦に振った。 「同じ吹雪型と比較すると、なおのこと顕著だ。どうしてこんなに差が出るんだろうな? ん?」 月明かりのせいでなく、磯波の顔は、真っ青だった。 「あのっ……あの、提督……!」 磯波はレポートを持つ両手を強張らせながら、何かを伝えようと必死だった。 「これは……そのっ、私……」 「それに聞いたところによれば、何度か他の艦娘と衝突しかけたとか?」 意見しかけた磯波を、僕はより強い言葉で一蹴してやる。 「その衝突が原因で隊は陣形を乱し、結果的に燃料と弾薬を海中に失ったそうじゃないか……」 磯波は口を開いたまま、自分の意見を完全に失っていた。息をするのさえ忘れていそうだった。 「あの日は悪天候だったからな。遠征の報告書には、荒天に伴う高波の影響で物資を消失した、 とされていたよ。正式な報告書には、君の不始末はひとつも上がってきていない。言った通り、 あくまで『噂』だ」 磯波は魂が抜けたような、愕然とした表情のまま、何も映ってはいないであろう瞳をレポート用紙に 落としている。提督である僕と会話していることさえ、否定するかのように。 「だが、君の成績を見るにつけ、一度直接に確認しておかねばと思ってね。磯波、衝突は真実か?」 答える代わりに磯波は、よろけるように半歩、後ろに下がった。 「どうした磯波、答えたまえ」 「……う……わ、わた……」 「磯波! はっきり答えたまえ!」 焦れた僕は、少しだけ語気を荒げ彼女の言葉を再び遮った。それだけで―― 「くぅ、 う……」 どこまでも静まり返った部屋に、たっ、たっ……と、絨毯に雫が落ちる音が響いた。 磯波の、涙だった。 磯波は薄い唇を噛みしめ、必死に涙を堪えようとしている。しかしその意志とは裏腹に、 熱い雫が白い頬に幾重もの軌跡を描いては、カーテンを透かす星の光に輝いた。 「それが貴艦の答えか、磯波?」 僕は椅子から立ち上がると、磯波の方へとゆっくり近づいていく。 「その涙が、僕に対する答えだというんだな?」 静かな僕の怒声に、ひんっと磯波が子犬のように鳴いた。 そしてまるで磁石の同極のように、僕が近づいた分だけ離れようとする。 だが、逃がすつもりは毛頭ない。 「どこへ行くんだ」 磯波の細い手首を、僕はがっしりと掴む。 「いや……あっ!」 磯波はレポートを取り落とし、僕から逃れようと顔を背けた。 「その涙が何で出来ているか、分かって泣いてるのか! 答えろ磯波!」 「うぅっ、は、放してぇ!」 「貴艦が目からこぼしているそれは、何だと聞いてるんだ、僕は!」 抵抗しようとする磯波の手を振り払い、僕はもう片方の手で磯波のきれいに編み込まれた おさげを掴み、容赦なく引っ張った。 「きゃあぁぁ!?」 磯波の悲鳴と散らした涙がきらめいて、暗黒の絨毯へと吸い込まれていく。 「提督ッ! うあっ、痛い、いたいですぅっ!」 「まだ『無駄』にする気か、その涙を、あぁ?」 悲鳴を上げるのも構わず、僕は磯波の小さな耳を引き寄せて、息さえかかるであろう距離で言い放つ。 「貴艦が流しているそれは、戦列を同じくしている駆逐艦娘達が運んできた『燃料』だろうが!?」 抵抗する磯波の体から、ふっと力が抜けたのが、良く分かった。 「日々危険な海域を掻い潜り、やせ細る兵站を何とか維持しているのに……何だ貴艦は? 燃料一滴持ち帰れもせず、ロクな戦果も無いくせに、のうのうと補給まで受けて、更に無駄遣いか!」 返事がない中、「ふっ」と僕は小さく鼻で笑い、もう一言。 「磯波……我が鎮守府はね、常に逼迫しているんだよ。燃料も弾薬も……それに鋼材も」 力の抜け切った磯波の腕を放し、僕は頬を伝う涙を指で掬った。人間のそれと同じく、熱い。 「この涙さえ、一滴も無駄にはできないんだぞ?」 言って、朴は磯波の雫を口に含んで見せた。 塩辛く、ほのかに甘い味が舌に広がり、消えた。 「常勝無敗、そんなもの僕は端から求めていやしないさ。だがね、子供のお使いにも劣るような 近海の輸送任務も果たせず、あまつさえ味方に損害を与えてしまうような艦は……僕の手には 少々余ってしまってね」 「あ……あ、ぁ……」 「君の処遇は、試験運用期間の終わりを待つまでもなく決まりそうだ、磯波。貴艦の意向は既に伺ったしな」 「え……?」 顔を背けたままの磯波が、怯えきった表情で僕を見つめた。 「わたし……まだ、何も」 「何を言ってるんだ、貴艦は。僕は確かに『聞いた』よ?」 磯波の細い肩にぽんと手を突き、僕は笑顔で首を横に振った。 「僕の質問に対して、磯波。貴艦は無言だった。即ち衝突の一件は申し開きの余地無し、と。そうだな?」 ただでさえ青白かった磯波の顔から、さああっと音を立てて血が引いていった。 「ち、ちが――」 「磯波、貴艦は最期に正しい判断をした。衝突した艦を修理するために、自ら一肌脱いで――」 「だめっ……提督! い、嫌……いやあぁ……ッ!」 僕の最後通告は、磯波のか細い悲鳴にかき消された。 硬直したままだった磯波の身体が急にがくがくっ! と震えたかと思うと―― ぽたっ、ぱたぼた……っ。 スカートの下から漏れ出した雫が、絨毯に染みを広がらせていく。やがてその波は勢いを増し―― しゅわああ、あああ……。 あふれ出した温かな金色の流れが、湯気を上げながら絨毯へと降り注いだ。 太腿にも幾筋もの細かな流れが至り、紺のハイソックスをしとどに濡らしている。 「うぅっ、うううう~ッ……」 磯波は絶望とも、解放ともつかない声で呻いた。きつく閉ざされた瞼の間からも、まだ涙が溢れている。 僕がおさげを放してやると、磯波は自分の作った水たまりの上に膝を折りへたり込んだ。 まだ全てが出切らないのだろう。細い肩を震わせ、磯波は両手で顔を覆い、すすり泣いている。 「ふっ、何だ貴艦は。燃料タンクにも欠陥があるのか?」 たった今、体を離れたばかりの生暖かく、そして若々しい磯波のにおいを吸い込みながら、僕は笑う。 「貴艦の姉さん達が聞いたら、さぞ悲しむだろうね。それこそ姉妹などとはもう――」 「いゃ……です……! て、と……く……!」 磯波は顔を覆っていた両手で濡れたスカートの裾を握りしめ、僕を食い入るように見つめていた。 「提……督……! 磯波の、お願いです……!」 そして涙に揺れる瞳に、ありったけの哀願と崩壊寸前の理性を浮かばせ、 「か、解体だけは……どうか……許してください……! えぐ……ひうっ……うぅぅ……」 何とかそれだけを言い切ると、磯波は天井を仰ぎ、静かにすすり泣き始めてしまった。 「すんっ……まだっ、まだ、磯、波は……うあぁ……あぁ……ぁぁ……」 僕の乱暴な扱いに抗ったからだろう。セーラー服はすっかり着崩れ、さらけ出た肩が夜風に震えている。 月夜に照らされながら細い顎を上げて涙にくれる磯波は、船首をもたげて静かに沈んでいく軍艦を思わせた。 磯波は、完全に堕ちかけていた。このまま放っておけば、手を下さずとも次の作戦あたりで 沈むかもしれない。 静かに彼女が朽ち果てる姿を見ていることもできる。だが、僕はそうはしなかった。 ――そうしては、意味が無いのだからね。 「磯波……解体は、嫌か?」 磯波はうっすらと黒い瞳を開き、言葉を知らぬ子供のようにこくっと頷いた。 まだ、魂は生きているようだ。そこは艦娘、歴戦の軍用艦の名を引き継ぐ少女達である。 「そうか……だが磯波、僕は貴艦を今のまま運用することはできない。故に『改造』する」 「かい、ぞう?」 「あぁ、そうだ」 言いながら、僕は磯波の前にしゃがみ込んで視線を同じくした。 「磯波……人にも艦にも、『向き不向き』がある。僕は貴艦らのようには戦えない。しかし、 貴艦らを率い、深海棲艦に立ち向かう術を与えることはできる。『適材適所』とでも言おうか」 「はい……」 磯波は時折しゃくりあげながら、涙声で応じる。僕はゆ磯波が落ち着くのを待ち、続ける。 「磯波、君は艦娘ではあるが、今はたまたま、戦いに『向いていない』だけかもしれない。 ならば、貴艦は生まれ変わらねばならない。貴艦が建造され、進水され、この鎮守府に就役した ことに、意味を持たせる。それは貴艦を『改造』する事のみによって成し得ることだ。分かるね?」 「は、はい……!」 磯波は若い。蒼白だった頬に血色が戻り、何も知らない子供同然の瞳に、月と星の光が再び 差し込んでいる。暴れて着崩れたセーラー服の奥で止まりかけていた心臓が強く動き出して いるのが手に取るように分かった。 僕はよし、と小さく頷く。 「磯波、では早速だが、改造の儀式に移る。深呼吸して、息を整えろ」 「はい、提督!」 磯波は袖で顔を拭うと、言われた通り、二度、三度と胸を開いて大きく息を吸い、少しむせながら 吐き出した。 「よおし、いいだろう」 僕は人差し指を柔らかな磯波の頬に寄せ、拭いきれなかった涙をそっ……と掬い取る。 そしてその指を、ゆっくりと磯波の鼻先へ。 「磯波……目を離すな。僕の、貴艦の提督の、人差し指から」 「はい……」 磯波の黒目がちな瞳が、しっかりと、僕の指先を捉えている。 「貴艦を改造する第一歩、それは、貴艦自信をよりよく知ることに他ならない」 「はい……」 僕はその視線を試すように、ほんの僅かに指を右へ、左へと動かしながら、静かに囁く。 「磯波、僕はこれからひとつ質問をするが」 「はぃ」 「貴艦はその答えを、もう知っている。僕は既に、貴艦に答えを与えている。磯波……いいね?」 「は…………ぃ」 極度の集中からか、磯波の表情は虚ろになりつつも、その唇は既に僕がこれから命じようと してることを鋭敏に察していた。 僕は磯波の正中で、ぴたりと指を止め、問う。 「磯波……貴艦の身体から零れた『これ』は、何だ?」 磯波は答えるよりも早く、そっと唇を開き―― 「んっ……」 僕の指を、優しく暖かな口の中へと運んで、ちゅぱっと涙を舐めとった。 「ん……ふっ……。『これ』は、皆が運んでくれた……燃料、です……提督」 「良い娘だぞ、磯波」 優しく頭を撫でてやると、雲間を抜けた月の光が、ふっと強まった。 カーテン越しに届くその静かで鮮やかな白に照らされた磯波の表情を見て、僕は少し驚いた。 磯波は、笑顔を浮かべていた。 「あ、ありがとうございます、提督……」 思わず細められた磯波の眼から、悲しみや恐怖とは違う涙がこぼれる。 「おっと、磯波?」 「も、申し訳ありません……れろ……んちゅ」 咄嗟に僕が手で受け止めたそれに、磯波は躊躇なく滑らかな舌を這わせ、丹念に舐め取る。 「は、初めて……だったので、つい」 「何がだい?」 「そのっ、提督に……褒められたのが」 磯波は僕の手を取ったまま、はにかむように小さく、口もとだけで笑った。 瞳からまた涙がこぼれるのを防いだつもりだったのかもしれない。 ――成程、健気で……想像以上に早い『仕上がり』だな。 「磯波……!」 次の段階の到来を感じた僕は、へたりこんだままの磯波の足元へと手を伸ばした……。磯波ちゃん×提督6-853に続く
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「Hey! テイトクー、Happy birthday to you!!」 朝から大きな声を上げ、勢い良く執務室の扉を開き、金剛が片手に包みを持って入ってきた。俺は突然のことで眼をぱちくりさせ、暫く金剛を見つめた。そして、もうそんな時期なのかと、机の上のデジタル時計の暦表示を確認する。九月一日。紛れもない俺の誕生日がそこには表記されていた。 しかし、俺は金剛にまだ誕生日を教えた記憶はなかったので、何処で知ったのだろうと思考をめぐらそうとすると、後ろに四つの影が動いた。金剛の後ろについて回っている四人組みは今この鎮守府には暁達「第六駆逐隊」の子達だけなので、予想を立てると、大当たりだったらしく、後ろから暁、響、雷、電の四人組が顔を出した。 「司令官、お誕生日おめでとう。これからも、もっと私にたよってよね」 「お誕生日、おめでとうございますなのです。司令官も暁に見合う大人にはやくなってよね」 「司令官、おめでとう。今度お祝いにウォッカを飲もう」 「司令官さん、お誕生日おめでとうなのです。この間おじいちゃんから手紙が来て、そこに司令官さんのお誕生日が書いてあったのです。 それで、是非とも皆でお祝いしたいと、初代秘書艦として他の艦娘達にも教えさせていただいたのです、ご迷惑でしたか?」 皆が俺に祝いの言葉を述べた後に、電は少し不安そうに聞いてきた。 とんでもないと俺は顔を横に振る。 向こうで終戦し、ミネルバ組はバラバラになり、俺の誕生日を祝ってくれるのはルナや部隊長だったキラさんだけだった。まあ、ごくたまに会えばバルトフェルト参謀やクライン議長もだが。 しかし、ルナが戦死し、俺がザフトを退役してからの数年、暫く俺の誕生日を祝ってくれてるのは誰も居なかったのだ。いや、後日メールを見ると一応キラさんとかは祝いの言葉をくれてたりしたのだが……アスラン? 知らない子ですね(赤城風に) なので、このように誰かに誕生日を祝ってもらう。というのが久しぶりで、とてもうれしいのだ。うれしさのあまりに固まってしまったのだ。不覚にも目頭が熱くなるほどに。 「テイトクー、私からのPresentネー」 金剛は俺に先程から持っていた包みを差し出してきた。俺は軍帽の鍔で目元を隠しながらそれを受け取る。よくよく見てなかったが、少し細長い箱のようだ。 「開けてみてクダサーイ」 ニコニコといつも通りの笑顔で催促する金剛。俺はリボンを解き、包みの中から出てきた箱を開くと其処から出てきたのは、金の装飾が施された万年筆だった。 「折角だから毎日使ってもらえるものがいいと思いましたネ。使ってネー」 金剛は少し照れたようにはにかんだ。装飾の一部によく見るとハートのようなマークがある。つまりはそう言うことなのだろう。俺も少し顔が熱くなった。 「私達からもあるわよ、食堂に置いてあるの」 「金剛さんは待ちきれなかったから持って来ちゃったけど、他の皆用意してるんだ。ケーキもあるよ」 暁達は俺の手を掴み引く。 その瞬間向こうでの記憶がよみがえった。ヨウランやヴィーノに手を引かれ、ルナに背中を押され、いつも端から見守っているはずのレイが俺を目隠したこともあったな。 食堂で、俺達の部屋で。誕生会をしてくれた。家族がいない俺を気遣う気持ちもあっただろうが、あいつらは仲間として俺の誕生日を一緒に祝ってくれた。とても、大事な記憶が。 それを思い出し、更に目頭が熱くなる。全く、こいつらにかっこ悪い顔見せたくないってのに……。 「お前ら、ありがとな」 かっこ悪く、少しみっともない顔かもしれないが、今伝えないと意味がない。そう思い、俺は金剛達のほうをまっすぐ見ながら礼を述べた。暁達は少し驚いたような顔をしたが、それも一瞬、彼女達は微笑んで俺を先導する。 「司令官はまだまだ子供ね、こんなことで泣いて。こんなので泣いてたら食堂着いたときには号泣よ?」 「大丈夫よ司令官、また泣きたくなったら、今度は雷の胸を貸してあげるわ?」 「そうだね、今日はまだ始まったばかりなんだから、まだまだ涙は取っといてよ」 「なのです!! ごちそうもあるし、皆からのプレゼントもまだまだあるのです」 俺はああとだけ返事をして、着いていくのだった。 『テイトク、私は人が泣くのは嫌いだといいました。けど、例外が出来ました。心が温かくなる悲しみとは魔逆の……うれし泣きの涙、こちらまでうれしくなります』 金剛は俺にだけ聞こえるように今耳打つ。うれし涙。俺も暫くぶりに流したが、やはりいつも流れる涙とは全く違う。 俺は見つめてくる金剛の顔を見返した。目が合うと金剛は俺に笑いかける。暁達も同様で、見つめると、こちらに笑顔を向けてくれる。きっと、食堂で待っている他の艦娘達も同様のことをしてくれるだろう。 俺もいつか、こいつらにうれし涙、というものをさせてやることができるようになるだろうか? いや、ならなきゃいけないんだ。俺は成長を、今日の、いやこれまでとこれからも含めてこいつらの優しさに誓おう。そう心に決め、着いた食堂の扉を開くのだった。 同時に、パンパンと音が響き、紙テープが飛んでくる。ああ、今日はいつもとは違う意味で泣けそうだ。
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「昇進するって、誰が? …えっ、あんたが!?」 私の言葉に司令はコクリとうなずいた。 そして、口で何か言う代わりに、本部からの高速暗号通信を見せてくる。 いつだって、この司令官は無口なのだ。無口で、鈍感。 「ちょっと見るわよ…へーぇ、こんな大艦隊を指揮するようになるのね、あんたもやるじゃない」 通信文には、私の司令官を海域突破の功によって昇進させる旨、そして新しく彼の旗下に入る艦隊の詳細が書かれている。 その艦隊に、私、叢雲はいない。 「ふぅん、やっぱり配属は変わるのね。でも、気候もいい土地じゃない。ま、せいぜい頑張りなさい」 次なる彼の赴任地、これも、ここから遠く離れた南方の泊地だ。 要するにこの通達は、私たちの関係の終わりを示していた。 もちろん、関係、って変な意味じゃないけれど。 彼が司令官としてここに着任して以来ずっと、司令と旗艦という形で上手く(まぁ、衝突もそりゃ絶えなかったけど)…上手くやってきたこの間柄も、もう終わりなのだ。 …あぁいけないいけない。私がこんなしんみりした調子じゃ。 こいつはこれから大事な艦隊を預かる身なんだから、気合いを入れてやんなくちゃ。 「ほら、なーにをしみったれた顔してんのよ! 昇進よ、嬉しくないの!? この私が喜んであげてるのよ?」 そう言ってぺしっと肩を叩いてやると、ようやくこいつも我に返ったらしい。 若く精悍なその顔が、こっちに向き直る。その仕草に、一瞬ドキッとしてしまう。 「あ…あぁ、いや、すまない。ちょっと俺も気が動転したんだ」 「こっちの台詞よ。ヘボでモグリのあんたが出世するなんてね…ま、素直に祝ってあげるわ。まだ、言ってなかったわね…おめでとう」 「ああ。ありがとう…」 私からの祝福に、司令は肩をすくめてお礼を返してみせる。 「うん、本当によかったわね…さて、夜も遅いし私はおいとまさせてもらうわ。あんたも明日から任地へ向かうんでしょ? それじゃ、おやす…」 「ま、待ってくれ…叢雲っ!」 突然に、司令は私の手をぎゅっと握ってきた。 今まで私の手や肩に、触れようとしたことさえなかったのに(まあ私が、酸素魚雷を食らわせるぞって、最初に脅したせいでもあるんだけど)。 おかげで私はすっかりパニクってしまう。 「そ、その…なんだ、ほ、本当にありがとう…叢雲」 「へっ…な、何!? どうしたってのよっ!?」 「い、いやその…お前には、ここに着任したときから、ずっと色々、艦娘の扱いとかを、お、教えてもらってきただろう!? だから俺は叢雲に、す、すごく感謝しててだな…!」 私の目の前で司令は、口をぱくぱくさせて、言葉をつっかえさせてる。慣れないことをするからだと思う。 顔までそんなに赤くしちゃって。 正直ドギマギして、こんなこと言われるだけで心臓をばくばくさせてるのは、私の方だっていうのに。 「む、叢雲っ、俺は…お、お前のことがっ…」 「ちょ、ちょっと離してってば、バカ!!」 あろうことか、私はその手をふりほどいてしまった。 その瞬間、司令の顔が、子供のような呆然とした表情に変わるのが見えて、私の胸がちくりと痛む。 「…………!!」 私は、もうおやすみの言葉も言わずに、後ろを向いて駆け出すと、執務室を後にしてしまった。 取り残されたように佇む司令を、一人そこに残して。 私の、バカ、馬鹿、ばか。 私は部屋に帰ると、寝巻きにも着替えずにベッドに突っ伏していた。 どうして私は、私を求めてくれる司令の手をはたき落として、拒絶してしまったんだろう? 司令は私との別れをもっと惜しみたかったのかもしれない。 司令は私を……好き、だとかなんとか、言ってくれるつもりだったのかもしれない。 司令は私を、抱きしめてくれようとしたのかもしれない。 でも、そのどれもを私は、あんな風に手を払いのけて、突っぱねてしまった。 「…なんで、素直になれないかなぁ…私」 無口でモグリで融通が利かないけれど、そんな司令に、私は…いつの頃からか好意を持っていた。 ううん、好意なんてもんじゃない。好き。 いつか私の口から言おうと思っていた、その言葉。 それを朴念仁のあいつの方から、しかも明日には別れるという頃になって、あんな風な余裕もない、ムードもない告白をしようとするもんだから。 だから、私は嫌になって逃げ出してしまったんだろうか? …けれどもう私には、今から引き返して、彼に好きなんて言うことは出来ないだろう。 私にはその勇気がない。資格もない。 ホントはあいつは、有能だ。この水雷戦隊を率いるだけに収まる器ではないのだ。 いち駆逐艦にすぎない私が、彼を引き留め、栄光の座から遠ざけるなんてことは、きっと、誰のためにもならない。 そう、だから私は、自分からこの恋を諦めることに決めたんだ。 「……ん、あれ…な、何でかしら…っ」 そう考えると涙が次々、つぎつぎと溢れてきた。 彼を思う涙だろうか? …いや、この先いくらでも出世して、人の尊敬を集めるだろうあいつの未来を考えたら、涙なんて流れるはずはない。 これは自己憐憫の、汚い涙だ。私は流れ出るソレを拭う。消えてしまえと思う。 私は、暖かく湿らせたタオルを目にかけて、横になって眠ろうとした。 泣き腫らした目なんかで、彼を見送るわけにはいかない。 明日は笑顔で、あいつの門出を見送ってあげなくちゃ――。 (あ……司令の…うで、だ) 夢の中で、私は司令官の腕につつまれていた。 たくましい腕が、私の髪や頬を優しく撫でさする感触が伝わってくる。 それが夢だと気づいたのはもちろん、今まで司令がそんな風に私に触れたことなんて、一度もないから。 すぐに、こんな破廉恥で虫のいい夢を見る自分を、あさましい女だと思った。けど同時に、もう少しだけこの夢に浸っていたいと思う私がいる。 夢の中の彼は、私の上に覆いかぶさるようになったかと思うと、次の瞬間、私の唇にそっとキスをしてくれた。 それだけで私は嬉しくてたまらなくって、涙が出そうになる。 (司令……司令っ…!) 声を出して彼を呼びたかった。けれど私の喉は張り付いたようになって、何の音も漏れない。 これが夢の不条理というやつ? そうして私がおとぎ話の人魚姫のように声も出ないままでいるうちに、今まで私の髪や頬を撫でていた彼の腕が、だんだん下の方へ伸びていくのを感じた。 (えっ……ちょ、ちょ、ちょっと!! ダメ、ダメだって!!) 頭ではそう思いつつ、私は制止することが出来なかった。 どうやら、声が出ないのと同じく、私は手も足も、文字通り指一本動かせないのだ。なんて夢。 抵抗できない私をよそに、司令の手は、私の薄い胸の上を、無造作に突き出た足を、スカートとストッキングに守られた私のお尻の上を、欲望に突き動かされたような手つきで這い回っている。 暖かい口づけをしてくれた彼の唇からも、いつしか、荒い、興奮した様子の息が漏れていた。 と、私の下半身を探っていた一方の手が、スカートの下に潜り込むと、私のストッキングとその下のパンティを、いっぺんに掴んだ。 (やっ…やだ…!! ありえないっ…!!) たとえ夢とはいえ、こんなこと、私は望んでない! 私は必死に目を見開こうとした。夢の中で、目を覚まそうと。 (……え?) 私は一瞬、状況が飲み込めなかった。 何が起こっているのか。私の体に、何が行われてるのか。 「叢雲…叢雲っ…!」 目を開けると、さっきの夢とよく似た光景がそこにはあった。 私の体はベッドに横たえられている。 そしてそんな私の上に、司令が――信じられないけれど、今度は夢ではない――司令が、覆いかぶさっている。 けれど、感触は。胸や、背中や、お尻や…口では言えないようなところまでを、ところ構わず這い回られる、その感触は。 夢の中よりずっとリアルで生々しいもの。 そう、夢の中と同じく私の体は、ベッドに這いつくばって私を見下ろす司令の指に、手によって、蹂躙されていた。 (し…司令…!? ちょっとウソ…何を…っ!) 叫ぼうとしても声が出ない。こんなところまで夢の中と同じなんて。 けれど少し事情が違うのは、私は理由なく声が出せない訳ではなく、口に詰め物がされているのだった。たぶん私が寝る前に瞼に被せた、温タオル。 身をよじらせて抗議しようとしたけれど、どうやら腕は、すでに脱がされた私自身の上着で、頭の上でひとつに縛られ、動けなくされている。そして足は司令の膝の下に抑え込まれていた。 私が夢で触れられているとか、動けないと感じていたのは、全部、現実に起こっていたことだったのだ。 執務室を飛び出たあと私は、たぶん鍵をかけることも忘れて、寝入ってしまったんだろう。 夢の中のすべては、寝ている間に彼が部屋に忍び入って、私の体にしたこと。きっと、もっと乱暴だったに違いないけど。 (どうして、こんな……っ!!) あまりの理不尽に、困惑や涙より先に、怒りがこみあげてくる。 これではまるで、レイプだ。 私は組み敷かれて、動けない体をいいようにもてあそばれている。 それも見ず知らずの誰かでなく、想いを寄せていた相手に。 なんで、こんなことを、と叫びたかった。 私が何度か首を振ってもがくと、ようやく口にされていた詰め物が唾液の糸を引いて取れた。 「や…やめなさいっ!! あ…あんたっ…なに考えてるのよっ!!」 私の声は、自分でもみっともないほど恐怖に震えていて、ほとんど意味を成してなかっただろう。 けれど司令は、それで声を抑える詰め物が取れたのに気づくと、とっさに自分の手で私の口を再びふさぎ、私はまただんまりを強制された。 その時、私に向けられた目は、あの時、執務室で私がその手を払いのけた時と同じ、子供のような―― 泣き出す直前の子供のようなあの目と、そっくり同じだった。 私に向き直ったのは一瞬だけで、すぐに司令は、私の首に顔を埋める。 そして、唇が私の首元に近寄せられ、激しいキスのような勢いで、その部分が吸われた。 (~~~~~~~っっ!!!) 甘い電流のような痺れが、私の体を襲った。 ちゅうっ、と音が立てられるのを、私の頭は、あの夢の優しいキスの続きででもあるかのように錯覚してしまう。 「叢雲…」 司令はうわ言のように、私の名前しか繰り返さない。 彼は私の首の付け根から離れると、その唇をさらに下の方へ、鎖骨を下り、私の胸へと滑らせていく。 そうだ、もう上着は脱がされているのだから、私の胸は裸のまま、たぶん私が起きたときからずっと、彼の前にさらされていたのだ。 そのことに今さら気づいて、私はかあっと赤面する。 そんな私にお構いなく、司令の温かい唇は、私の肌の上を転がるようにして、ついに胸の先端にたどり着くと、それへと舌を這わせた。 (い…やぁっ…! ………ああぁっっ…!!) きっと、口をふさがれていなかったら、乞うような嬌声を上げてしまっていただろう。 まるで彼に触れられた部分に次々新しい神経が通っていくみたいに、全身の感覚が一点に集中する。 舌で舐られるたび、私の胸の先っぽが、もう快感につんと立って主張しているのが自分でもわかって、また火が出るほど恥ずかしくなる。 こんな乱暴な愛撫の一つ一つに、私の体が馬鹿みたいに反応してしまっているのに、彼もとっくに気が付いているはず。 手に唇に触れられただけでビクンと体は震え、耳も顔も真っ赤になってる。 私のこと、夜這いをかけられて、組み伏せられて、興奮してしまうようなヘンタイ艦娘だって思うだろうか? (私だって…ホントはこんなの……っ!) ホントは、こんな風なの、望んでなんかいない。 私だって、恋をする女の子だ。司令の腕に抱かれたり、ついには体を許してしまうのを、想像したことだって幾度かある。 けれどそういうのは、愛の言葉を囁いたり、おたがい抱きしめ合ったり、キスをしたり、そんな優しい、愛の手続きの後で行うものだって、そう私は空想していた。 それなのに、何で、こんな――。 必死に足を動かして、彼の体の下から逃げだそうと試みるけれど、膝から下を体重をかけて抑え込まれているから、もがくことしか出来なかった。 しまいには口をふさいでいる手にかじりついたりしたけど、ちっとも動じない。 そうこうしているうちに、司令の自由な方の片手が、私の太股の部分に、すっと触れる。 手のひらと四本の指は、ストッキング越しの足の手触りを楽しむように、そして親指は、私の下着のクロッチ部分の上に―。 (――やっ……あっ、ありえないって、こんな…!!) 自分でも触れたことのない部分を刺激されて、未知の感覚が私を襲う。 司令の親指は私の女の子の部分を、その縦筋を二重の布の上からたしかめるように、何度も上下する。 そのたびに痛いような、疼くような、もどかしい感じが私の頭に走り抜けるのだ。 やがて二本、三本と、ぜんぶの指が責めに加わった。 まるで私のあそこがすっぽり、彼の手の中に収められてしまったみたいな感覚。 上も下も、すべての部分を、絶え間なく私は責め立てられてゆく。 くち、くち、と下着の中からは、おしっこを拭くときみたいな、恥ずかしい水音が漏れている。 私の耳にも、彼の耳にも聞こえる水音が、響きわたる。 ずっと、はぁはぁと荒かった司令の息づかいが、さらに昂ぶるように、速まっていく。 恐怖と、恥ずかしさと、困惑と、気持ちよさで、私がもう何もわからなくなりそうになった頃。 びびびっ、と音を立てて、ストッキングが破られた。 (あ……) ちょうど股間部分が破かれて、空気にさらされたのが分かる。 続けて、いつの間にベルトを外したのか、司令は軍袴を膝まで落とすと、性急な手つきで下帯も脱いだ。 暗くてはっきりとは見えなかったけれど、黒々と屹立したシルエットが、その下から現れていた。 「叢雲――」 激しい息づかいの中で私の名前を呼んで、司令が、私により深くのしかかる。 くい、と、パンティが指で横にずらされたらしかった。 そうして露わにされた私の大事なとこに、こんどは指じゃない、さっきの屹立したモノが、あてがわれる感触がある。 熱いソレが、にゅち、にゅち、とぬめる入り口を、なぞっている。 いやだ。 背筋に悪寒が走る。 私は、他の艦娘にくらべて、エッチのこととかなんとか、そういう興味は薄い方だと思う。 他の子たちが、キャーキャー言いながら回し読みする春本だって、ほとんど手にとって眺めたりしなかった。 けれどこのとき、司令がこれから何をしようとしてるのか、直感的に私は悟った。 いやだ、やめて! あんたのこと、嫌いになりたくない。 お願い。 口を動かせない私の頬を、涙がつたった。私の口をふさいでいる司令の手にもそれがぽたぽたと落ちる。 司令がはっと気づき、私と彼の目と目が合う。 むらくも、と彼の唇が動く。 彼の目に、いま私はどう映ってるんだろう? 元秘書艦の女の子? それともただの性欲のはけ口? さんざん生意気で横柄な態度をとっておいて、いざ押し倒されたら涙で許しを請おうとする、馬鹿な小娘? 「お前が…お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…」 その言葉は、まるで司令が自分自身に言い聞かせてるみたいだった。 それだけ呟くと、彼は私の顔から目をそらして。 一気に腰を進めた。 (…………………っ!!!) ぷつっ、と。 何かが弾けるような感触と共に、私の中に、熱いものが押し入った。 ダメ、痛い。やだ。やだ。やだ。やだ。痛いっ、痛い! 頭には、それしかない。 私の体は全力で締めつけて追い出そうとするけど、力負けして、鉄柱のようなそれが結局、おへその下まで入ってくる。異物感がすごい。 どう考えても私の中にそんなスペースなんてないと思うのに。 彼が弾丸で私の下腹部に穴を穿って、ぐりぐり押し広げているんじゃないか、そんな錯覚すら覚えた。 「……ふっ、ぁ……叢雲…っ!!」 そんな私をよそに、彼は感極まったような声を上げる。 ゆっくりと、段々と激しく、引き抜いては私を突き上げる。こっちは痛いってのに。 私が痛みで腰を引こうとすると、お尻を手でつかまえられて、押し戻された。そのせいで、司令の先端が、私の最奥をゴリゴリとこする。 ずちゅっ、ずちゅっ。 そんな間の抜けた水音が、司令と私の腰が、繋がったり離れたりするたびに響く。 私の激痛なんてまるで関係ないみたいで滑稽だった。 滑稽と言えば、このベッドがきしむ音も、司令の必死な息づかいも。 早く、はやく終わってほしい。 私はもうただそれだけを祈っていた。 今はけだものみたいになってる彼も、ひとしきり満足したら、元に戻ってくれるだろうか? 『お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…』 頭の中で勝手に、さっきの彼の言葉がくり返される。 一体、どこでボタンをかけ違ったんだろう? 鈍感で、朴念仁だなんて、ののしっておきながら、私こそ司令官の気持ちを推し量ろうとしなかった。 もし私が勇気を出して言っていたら。 もしあの手を払いのけなかったら。 こんな風にはならなかったかもしれないのに。 でも、もし私のことを好きだっていうんなら、なんでこんな酷い仕打ちをするんだろう? 好きだけど、それでも私があんまり生意気な子だから、痛めつけてやりたかった、とか。 ――この体の痛みも、胸の痛みも。罰なんだろうか。 「叢雲…叢雲っ……!」 熱に浮かされたみたいな彼の声で、現実に引き戻される。 ピストンがいちだんと速くなったかと思うと、私を突き上げてた剛直が、勢いよく引き抜かれた。 あ、と考える間もなく、熱い飛沫が、私の下腹に、二度、三度と飛び散った。 熱湯がかけられたかと思って、つい、ひゃあっ、と声を上げる。 と、ここで私はようやく、口をふさいでいた彼の手が、どけられたのに気がついた。 「あ…」 気づくと、司令が私の顔の横に手をついて、私を見下ろしていた。 呼吸はさっきほど荒くない。落ち着いてきてる。 状況が違えば、ドラマによく出てくる、男が恋人を押し倒した直後みたいな構図だ。 ふいに司令が、すっと私の顔に手を伸ばす。 「や…やめ…っ!」 私は反射的に目をつむってしまった。 何かまだ、ぶたれたり、もう一度、犯されたりするんじゃないかと思っていたから。 そんな私の頬を、温もりを持った指が、優しく拭っていく。 身をすくめていた私が、おそるおそる目を開くと、司令は身を乗り出して、私の頭の上、拘束されてた私の手首の縛めを、ほどいてくれていた。 放心した頭で私は、終わったのかな? などとぼんやりと思った。 …何が? 相変わらず司令は私の上で、言うべき言葉を決めかねているみたいな顔をしている。 「痛い…」 私がぽつりと言った。じっさいそれは、正直な感想だ。 縛られてた手も痛いし、抑えられてた足も、あそこも…。 「だろうな」 司令はそう返す。 ああそうね、「すまない」なんて言ってたら、きっとぶん殴ってるところだわ。 …そうだ、私にこれだけ酷いことをしておいて…今さら、優しさなんか、いらない。 徹底的に私を、慰みものにでも、すればいいのに。 でも司令は代わりに、部屋にあったティッシュで、私のお腹を汚してた精液と、破瓜の血とを拭ってくれていた。 「………なんで、そんなに優しく、するなら…」 だったら何で、最初から優しく、してくれなかったの。 途中から、また溢れてきた涙で言葉にならなかった。けれど彼は意味を察したらしい。 「…お前に、徹底的に嫌われたかったから」 私のいない艦隊なんて考えられなかったから。私に想われないで去るくらいなら、いっそ壊すくらいに痛めつけて、一生私の心の中に残りたかったから。 司令はそんな風に訥々と語る。 それを聞いて私は、ああ、この人は馬鹿だと悟った。 私と同じたぐいの、馬鹿。 司令を好きでいるのが辛くて、司令の告白を聞くのが怖くて逃げ出した私と。 私に愛されてないと思い込んで、いっそ私にひどく嫌われようと想ったこの人と。 救いようのないくらいの馬鹿二人だ。 「叢雲……俺を軍令部に訴えて更迭するなり何なり、好きにするといい…お前がいない場所なんて、どこだろうが変わらないからな」 司令はベッドサイドに腰かけ、何かもう、達観したような口調で言う。 私から顔をそむけて、私に未練を持たないようにしているんだろうと思った。 「…そうね…こういうのはどう? 代わりにあんたが、私のお願い、何でも一つ聞くの」 彼の背が、ぴくっと動く。 私が提案なんかしたことが意外なんだろう。 「…ああいいよ。深海棲艦の巣に飛び込めって言うなら、そうしよう」 「バカ。そんなこと、死んだってさせない」 司令の背中から、私はぴたっと抱き着く。裸の大きな背中が、私を抱き留めてくれてる。 「む…叢雲!?」 明らかにうろたえる彼を制して、私は伝えた。 私の「お願い」を。 「私を、あんたの新しい艦隊に入れて、今まで通り秘書艦にして。あんたのコネだろうが、何だろうが全部使って、ねじ込みなさい」 「叢雲、お前…」 司令が驚いて私に向き直る。その顎をつかまえて、私はそこに唇を重ねた。 私からのキス、私の初めてのキスだ。 キスは、とくにレモンの味なんてしなくて、唇に流れた自分の涙の味がした。 あと、司令のヒゲの剃り跡がちょっとざらざらする。 三秒くらいそうして唇を合わせていて、やっと離してから、私が言う。 「…あんたがいないとこなんて、どこへも行きたくないのは…私だって同じなんだから」 一緒よ、ずっと。 それだけ言うと、彼がすごい勢いで、私を抱きしめてきた。 むらくも、叢雲、と。私の名前を必死で呼ぶ。 いいのよ、と私は言う。 私たちお互い、馬鹿なんだから。きっとこうでもしなきゃ、伝えられなかったから。 それから私たちはしばらくの間、抱きしめ合ったままでいた。 まるで今まで足りなかった言葉を補うみたいに、ただ抱きしめ合っていた。
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84 :名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 01 05 22.30 ID 1b33W5PM 曙「か、改装とかいって、私の裸が見たいだけなんでしょっ、このクソ提督!」 開口一番に曙は私に食って掛かる。 いつもの光景だが、今日はいつもとは少し違う。 先ほど自前で特別な護符を拵えたのだ。 特殊な術式によって相手の心が読めるというなんとも垂涎モノ・・・もとい、危険な代物である。 しかしやはりと言うべきか、使用条件がかなり限定的で、心を通わせていない者の心はあまりよく聞き取れない。 逆に言うとはっきり聞こえれば聞こえるほどお互いが信頼し合っている証拠となる。 そもそも何故このような護符を作ったかというと、深海棲艦の心を探るためなのだが、試験段階で上記のような致命的な欠点が見つかったために計画は白紙に戻っている。 改良も試みられたが、研究の結果それが不可能であることが分かった。 心のつながりのない者の心うちを知るには、精神破壊が必要だったのだ。 敵の心を知るためにその心を壊しては意味がない。 かといって信頼し合う仲になることは不可能だし、そんな仲になっていたらこんな戦闘は必要ないわけだ。 辛うじて読み取れたことは、「寒い、冷たい」という感情と強い憎しみだけだった。 この護符は凍結という決定がなされたが、当時の研究書は見ていたため呪印などすべて覚えている。 話がだいぶ脱線したが、つまり、いつも突っかかってくる曙は、果たして内心はどうなのか? と気になったという好奇心の元、この護符を発動させるに至ったというわけだ。 きっかけは曙のこの一言だった。 曙「気に入らないなら、外せば?」 そういう彼女の声は震え声だった。 あの時彼女はどんな気持ちだったのだろうか。 彼女に戦力外通知をした覚えはないし、彼女のミスを責めたことも一度もないのだが、知らず知らずに彼女を追い詰めていたのだろうか。 当然史実での彼女の不遇は承知している。 ふと、今の彼女の心が知りたくなった。 そして冒頭のセリフを言った後の声ははっきりとこう聞こえた。 曙「(ありがとってホントはいいたんだけどなぁ・・・)」 提督「ふむ・・・」 まさかここまではっきり聞こえるとは思わなかった。 かつて親に試した時でさえここまではっきりとは聞こえなかったように思う。 提督「そうか・・・。曙の今後の活躍に期待しているぞ。・・・」 曙「ふんっ!」 曙「(うれしい・・・///。絶対活躍してみせるわ!見てなさい!クソ提督♪)」 曙「私に十分感謝しなさい、このクソ提督♪」 曙「(すごいでしょ!?私がんばったよ!この勝利は敬愛する貴方へ捧げるわ!)」 先の作戦でMVPをかっさらった曙は、提督執務室のドアをドカンと開けると 頬を薄らと赤くさせて高らかに宣言した。 瞳はキラキラと輝き、こんなにはつらつとした彼女を見たのは初めてかもしれなかった。 ここ数日彼女と接してみて分かったことがある。 どうやら彼女は俗にいうツンデレのようだ、ということだ。 改修をすればするほど悪態をつくのだが、それは素直になれない彼女の照れ隠しだ。 髪が長くて維持が大変そうなのにずいぶんと綺麗だなと褒めたときなどは セクハラだと怒っていたが、心ではものすごく喜んでいた。 後日、さらに髪の美しさに磨きがかかり、いい香りまでするほどになっていた。 提督「じぃ~(やはり曙の髪は綺麗だなぁ・・・)」 日の光に照らされて艶やかな髪に視線を這わせる。 曙「何よ?こっち見んな!このクソ提督!」 曙「(見られると恥ずかしいのよ、ばかぁっ)」 提督「ふむ・・・」 ムクムクといたずら心が芽生え、曙のそばまで歩み寄る。 曙「何?何か用?」 曙「(近っ、近い近い!)」 そっぽを向いて不貞腐れた態度をとる曙だが、 何処となくソワソワしている。 提督「曙、MVPよくやってくれた。感謝している」なでなで 曙「なっ!?何で触るの!うざいったら!・・・・・・・・もう」 曙「(あ・・・うれしい!ホントはもっと撫でて欲しいけどこれ恥ずっ・・・///)」 さらに追い打ちをかけてみる。 提督「曙の髪はサラサラで心地よいな。心が落ち着くよ」なでなで 曙「し、仕方ないわね。ちょっとだけ・・・よ?」 提督「ありがとな・・・曙」なでなで 思わぬところで素直になった曙が意外だったが、 日頃戦いに出ている彼女を労わる気持ちでさらに撫でる。 曙「///」ムスー 曙「(ちょっとくらい・・・いい・・よね///)」 しばらく撫でていたのだが、居心地が悪いのかモゾモゾしだした曙の 上目づかいな視線と目が合わさる。 曙「あ・・・・」 曙「(提督の顔・・・近い。・・・・キス・・・とか。ね・・)」キュン 提督「・・・」なでなで・・・ぴた 顔を真っ赤にしてこちらを見上げる曙と、そのまっすぐな心の声に ドキっとして撫でる手を止めてしまった。 どうやらこの護符の効果は相手の感情に引っ張られるらしい。 そっと手を曙の頬に添える。 曙「ん・・・・」 目を閉じた曙のまつ毛は、小刻みに震えている。 綺麗なピンク色をした唇はキュッと閉じられ、 まるで侵入者を拒むかのようだ。 彼女の髪からふわっと心地よい香りが鼻をくすぐる。 提督「曙・・・・」 そっと腰に手を回して彼女を抱き寄せる。 少し前にかがんで彼女の唇に吸い寄せられるように顔を・・・。 バーーーン!! 島風「ていとくーーー ー!かけっこしよーーーー?」 曙・提督「!!」 突然やってきた島風に驚いた曙はパチっと目を開ける。 後数センチまでの距離だったため、見つめ合う格好になった。 曙「あ、あ、あ・・・」 どんどん涙目になっていく曙にどうしたものか、突然のことに頭が回らない。 島風「どうしたの?見つめ合っちゃって」 曙「わぁっ」ドン 提督「うわっとと」ぐいーーっ 曙・島風「きゃぁっ」どたんばたん 突然突き飛ばされたためバランスを崩し、咄嗟に伸ばした手で島風と曙を巻き込んで倒れ込んだ。 島風「痛たたた・・・。ていとくひどいよ!もう・・・。あ・・・!」 曙「んん・・ん・・・」 一緒に倒れ込んだ時に、幸か不幸か曙と先ほどの続きをすることとなった。 曙「んん!?んー!んーーっ!!・・・んはっ・・・はぁはぁ」 島風「ごめんね、上に乗っかっちゃってた」 曙「ッッ」 ガバっと起き上がると、曙は一目散に走り去っていってしまった。 提督「曙ッ!待っ・・・」 島風「おぅっ」ドターン 慌てて追いかけようと立ち上がったものの、島風の服のボタンと絡まってしまい島風を押し倒す格好になってしまう。 島風「ん・・・」 提督「・・・!!」 思い切り押し倒して口づけしてしまっていた。 島風「(あ・・・私、てーとくとキス・・・してる・・・)」 島風「んちゅっ・・てーとく・・・んふっ・・・」 島風「(てーとく・・・大好きだよ!)」 ドック帰りとはいえ戦闘後で高揚している島風は、切り替えが早く高まる気持ちを抑えきれずにしがみついてきた。(だいしゅきホールド) 護符の効果により島風の想いも強烈に流れ込んでくる。 さっき倒れた拍子に、右手は島風の胸の上にあり、ささやかながらもやわらかい弾力が指を押し上げてくる。 提督「島風・・・」 やさしく髪を梳いてやり、気持ちを落ち着かせてやる。 島風の目を覗き込み、愛おしむまなざしで語り掛ける。 提督「島風、俺もお前が好きだぞ。」 島風「てーとく・・・・」 すでに赤くなっていた島風の顔が、ポッとさらに赤くなる。 しかしそれは嬉しさ半分悔しさ半分である。 島風「・・・てーとく、ずるーい」 ぶぅ、と膨れる島風は、言葉にせずともこちらの心を読み取っていた。 おでこにキスをして島風から離れる。 島風「ぶーぶー」 島風「(絶対一番好きって言わせて見せるんだから!)」 不服そうな島風だったが内心は幸せいっぱい、残念がちょっとという感じだ。 口づけした唇をなぞり、キスされたおでこを触って見上げながら、にひひっと幸せが漏れていた。 島風「てーとくのことあきらめないんだからねっ!」 そう言い放ち、島風はパッと立ち上がったかと思うとあっという間に走り去ってしまった。 提督「・・・・やれやれ、どうしたものか」 あれはいずれ食われるな・・・(自分が)。覚悟をしておいた方がいいかもしれない。 そう思う提督だった。 島風の過去を視たときからどうも島風に懐かれてしまったのだが、まさかここまでの想いに膨れ上がっていようとは思いもしなかった。 護符がなくとも艦娘たちから好意の視線を感じていたが、やはりと言うべきか、いざ心を見てみるとこれでもかと情愛の念があふれていた。 嫌われていると思っていた曙ですらアレだったのだ。 他の艦も推して知るべし。 この護符について一つ分かったことがある。 心を通わせている者でも相手の心が読めない場合がある。 島風からは好きという感情が強すぎて他の心の声がかき消されていた。 どうやら伝えたいという気持ちが重要であるらしい。 ならば深海棲艦の伝えたかった事とはいったい何だったのだろうか・・・。 寒いといっていた彼女たちは何を想い、願っているのだろう。 彼女たちの魂を救いたいと、切に願わずにはいられなかった。 +後書き 90 :名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 01 13 40.56 ID 1b33W5PM 以上です。 ケッコンカッコカリがものすごい重婚状態のためこのような流れににに・・・ いつかの島風の続き物だけど何故か曙の話になった。 そして我が艦隊の曙は遠征組でそれほど活躍してないんだけど キラ付けのたびにつついてたらあの震え声が気になってSSにしてみた。 ちなみに我が鎮守府の秘書官は如月で、大井っちや北上さんなどなど何名か愛人枠にいます。 いずれ登場させたいなぁ
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お尻ぺんぺんとかがあるので嫌いな人はNGよろしく。エチュエム!!エチュエム!! ------------------------------------------------------------------ 鎮守府・提督執務室── 「この、」 制帽に眼差しを伏せた提督の手の中で、鉛筆が2本、まとめて音をたててへし折れる。 「……大バカもんどもがァァーーーーッッ!!!」 四十六糎三連装砲並みの怒声が、鎮守府のすみずみにまでも響き渡る。 執務室の窓が、台風の時のように大揺れに揺れる。次の瞬間、それらは内側からの音圧に耐え切れず緩やかに外側へ膨らみ、撓おうとした窓枠との力の対立に耐え切れず、ぱりん!ぱりーん!と弾けて飛んでいった。 「貴様らは? いったい? どういう? 了見で? ──平和であるべき食事の時間に? いさかいなんぞ? 起こしたのだ──」 奥歯を鳴らした提督が、常に護身用に傍らに置いてある短鞭──郷里で趣味にしていた乗馬用の流用だそうである ──で自らの手をぱちぱちと、語尾を上げるごとに叩いている。 「あ゛あ!?」 凄まれたその眼光こそ、深海棲艦も恐れをなして逃げ出すであろう。直接の叱責を受けていながら、“ああ提督、怒ったお顔も勇ましくてお素適です”などと頭の片隅で加賀は思う。 「……そ、その──……最初は、些細なことだったのです。……」 つかえつかえ、鞭のなる音の中、加賀は釈明する。 艦娘たちの食事は、“食事”という名前こそ取っているが、要するに燃料補給である。 人間の姿かたちである以上、提督の食事に相伴したりもするが、 本当の食事は鋼材であったりボーキサイトであったり弾薬燃料であったり──要するに、諸々の資材である。 その資材が、彼女たちが茶碗へ注いだり椀へ盛ったりする段階に、 何故か米飯や味噌汁や数々の菜の格好に変じているのかはともかくとして、だ。 始まりは赤城が、加賀の“食事”を、自分よりも多いとからかったことによる。 正規空母は、製造──生まれてくるにも勿論だが、維持していくにも数多の資材が要る。 とある中尉に“女も積めばノン・ストップ”と言わしめた原子力空母のようには、中々都合よくはいかない。 それはしばしば食事の風景において、たおやかな外見の娘らしからぬ大食漢ぶり、という見た目になる。 そして艦娘たちが、おおよそ女学生ぐらいの精神年齢であることを鑑みれば、 同性に大食いと言われることは、耐え難い侮辱なのである。 言った相手も言われた相手も、そのクラスは正規空母。飯の量のわずかな多寡で、 ましてや、その言う相手が姉妹ならば。 ──食卓は、戦場と化した。 口の出し合いから始まり、なぜかお互いの艦載機がひらひら空中を舞い始め、 そして赤城が打ち振るった皿が運悪くその手からすっぽ抜け──加賀がとり舵一杯でそれを避け ──騒ぎを聞きつけた提督の額に、気持ちよく真正面からクリーンヒットしたのである。 提督の制帽の上には、美味そうにこんがりと焼けた秋刀魚(弾薬)が載る結果となった。 入渠中の赤城は、整備兵によって素早く“修復継続の要あり”と庇ってもらえたが、 五体無事な加賀はそうもいかない。 「ほーーーーー」 「以上──報告は終わりです、提督。申し訳ありませんでした」 提督は鞭を鳴らし、その先端を片手で受け止め、といった苛立ちの挙措そのままに、加賀を睨んでいる。 「ぶっちゃけ言うぞ。阿呆か貴様らは」 「返す言葉もありません……」 「大体、兵装の良し悪しで、自分が強いお前が弱いといった言い争いなら、 軍人誰もが自分最強と思いたいものだから分からんでもないが。 何が悲しゅうて、俺の艦娘がメシで争わなきゃならん?」 「申し訳ありません……」 「貴様らは出撃して無事帰還してメシ食って寝て出撃して、とっととこの戦争を終わらせることに終始しろ。 いいか、以後二度とメシで争うことは許さん。 ……俺が、艦娘の食事も満足に調達できん甲斐性なしと言われている気分になる」 「て、提督」 素直に許されたことを喜ぶべきか、まだ眼を伏せておくべきか迷った加賀の頬が、少し熱くなった。 秘書を務める高雄が、“怒りっぽいけれどお可愛らしい方ですよ”と微笑む理由が分かった気がしたが、直立不動は崩さずにおく。 何しろ提督は、以上だとかここまでだとか、解散だとかいう言葉を口に出していない。 「説教はここまでだ。来い、加賀」 ──そして、人差し指を振って、提督は加賀を呼んだ。 呼ばれた加賀は素直に、執務机を回り込み、彼の椅子の横に立つ。 「……きゃっ……!」 「……後は、姉妹仲をきちんとするよう、お仕置きをしておかんとなあ」 腕が引っ張られた、と思った瞬間には、加賀の身体は倒れこんでいた。椅子に腰掛けた提督の膝の上に、まるごと上体を伏している。 だが脚は投げ出されているから、丸っきり幼児に対する仕置きの姿勢と変わらない。 臀の肉を遠慮なく、五指の爪をめり込ませるようにして揉まれる。ぺろんと、短い行灯袴まで捲られてしまった。 「てっ、提督っ、何、なにをなさっ……きゃあッ、いやあッ!」 「……駆逐艦たちはまだ子供子供しているからな。これでも俺はまだ自重の強いほうだぞ。 暴れるな加賀。少し踏ん張れ──そらっ!」 「痛ぁっ……!」 派手な音と共に、加賀の臀部に、赤い大きな紅葉が咲いた。 痛み自体はそれほどでもないが、繰り返すに女学生ほどの精神年齢の艦娘にとって、 尻を引っぱたかれる行為は、羞恥以外の何ものでもない。 提督も、鎮守府の長として赴任してくる前には、各種“精神注入棒”にさんざん痛めつけられたのだろう。 今加賀に振るわれているのが、真物の“バッタ”でないだけマシとは言えようが、痛いものは痛い。 「姉妹(きょうだい)は仲良く! 飯が少なければ分け合い! 提督を! 嫉妬させるくらいの! 仲むつまじさで! おるようにせよ!!」 「は、はいっ──てっ、提督っ、もっ、痛っ、ごめんなさっ──申し訳、ありませんーッ!」 ついに加賀が本格的な涙目になるころ、提督の仕置きは終わりを告げた。 痛む臀は、袴が戻ってくるだけでもひりひりする。それでもはしたない姿は見せるまいと、 加賀はなんとか机に両手をついて、どうにかこうにか提督の膝から体を起こす。 「加賀」 折れ曲がった袴の襞が、再び捲り上げられて、加賀の腿にひんやりと空気が染みた。 それだけではない。硬い、皮革で作られた舌が、彼女の秘所に、下着越しにめり込んでいた。 「貴様、こいつは何だ? 仕置きだと言っただろう、よりにもよって尻を撲たれていたのに濡らすなんぞ──」 「……っ、あァッ!?」 加賀の秘所を蹂躙しているのは、提督が携えた乗馬鞭だ。 熱を持ったそこが、温かくも丹念でもない革鞭の先端に、滲んだ愛液とともにぐりぐりとこね回される。 意に反して蕩けたその中に下着が食い込んでいき、発情した粘膜を提督の眼前に露にした。 今や加賀は、執務机に上半身を伏せ、真赤に腫れた臀と、ねっとりと綻びた女の秘密を、提督に向けて突き出す格好だった。 「……普段はつんけんと取り澄ましているくせにな。加賀、貴様の夜戦に関する練度はどんなもんだ? あ?」 「んんぅっ……! や、提督っ、そこ、やめてっ──はう、っア……!」 持ち替えられた鞭が、今度は重点的に、一番敏感なクリトリスをとんとんと叩き始める。 愛液でぬるぬるの革は、やや強い刺激ではあれど、痛むものではない。 それどころか、ひと叩きごとに蜜の量は増えるばかりで、秘所はすっかり下着から透けていた。 加賀が恐れるのは、提督の気まぐれだ。もし思い切り、こんな状態の秘所を打たれてしまったら。 痛みに気絶できるならば、まだいい。その刺激で、快感のはじけた先へ連れて行かれてしまったら。 気づけば彼女の腰は切なげに揺れるようになり、提督が鞭を自ら動かさなくとも、 悦いところを探して淫らなうねりを見せていた。 秘所の谷間のふくらみの中に、加賀が鞭を挟みこんで、喘ぎ声と愛液を垂れ流すようになるまで、 提督はにやにやと笑みを浮かべたまま、その遊びに熱中していた。 「んっ、んくぅっ……て、提督っ、…………わ、わたしっ、だめです──おかしくなってしまうっ!」 既に加賀の腿には、愛駅がべったりと、油のように滴っている。 戸惑いがちな腰の動きは、彼女の悦楽に火をつけて煽るばかりで、達する直前ではあっても、 解放するまでには至っていないらしかった。 提督の笑みがいっそう深くなり、今度は鞭の先端を下着へ引っ掛けて、小器用にぺろりとそれを剥ぎ取る。 加賀の欲情をたっぷり含んだ薄い布地は、頼りなく彼女の太股へ引っかかり、艶めかしくそこを彩った。 「……そんなに男のものが欲しいのか。いいぞ、加賀──くれてやる。たっぷり味わえよ」 「──……っ、ん、あぁっ、あ、いやぁあぁっ……!!」 とうとう膣口に訪れた剛直の熱さが、一瞬で加賀を狂わせた。 ぎりぎりで堪えていた欲情が、秘所から爪先、頭のてっぺんまで駆け上り、浸していく。 初々しい襞がきゅうきゅうと牡を締め付け、子宮へまでも導こうとして、絞り上げる。 二人の肌のぶつかり合う音が、先ほどの打擲よりも激しく、嫌らしく、執務室に長いこと響いた。 「沈んじゃうっ……提督、加賀が、しずんじゃいますッ…………提督ので、あんっ、轟沈、させられちゃ、う──、!」 やがて、喉奥から随喜の叫びを放って、背筋を反らしながら──提督の剛直を食い締めながら、加賀が達する。 結合部に淫らな匂いの熱い潮が浴びせられて、それを感じ取った提督もまた、大量の精液を膣内にぶちまけた。 絶頂してもなお、雄を締め付けて離そうとしない膣に苦労しながら、彼はぽつりと呟いた。 「やれやれ。……一航戦は良く似た能力だが、姉妹揃って──これとはな」
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前回の話 3-1-A 太陽は頂点を少し過ぎていた。 南洋の陽光はギラギラと容赦なく照り付ける。 暑い日曜日の昼下がり。 今日は艦隊の休養日だ。 かつて、月月火水木金金と言われはしていた。 現実には人と同じように艦にもオーバーワークは禁物だということは 理解されていたらしく、平時の日曜日は休養日に充てられていた。 無論、今は戦時であるが艦娘達に疲労が溜まらない様に提督は即応待機の部隊を除いて、 休養日を設けていた。 だが流石にこの太陽の下に出歩く艦娘は少ない。 全館に戦艦大和並みに冷房設備を施している鎮守府内で艦娘達は思い思いの休みを 満喫している。 昼食後の厨房には幾人かの艦娘達が集まって料理をしている。 きゃいきゃいとかしましい談笑が聞こえる中、セミロングボブの艦娘が自信無げに オーブンを眺めている。 ピンクのフリルで飾られたエプロンは粉と恐らくはこねた小麦粉が付着して乾いた と思しきゲル状の物体で彩られている。 チーン、というタイマーの音に少しビクつきながらもおずおずとオーブンの扉を 開けて天板を取り出す。 天板にはほかほかと湯気を立てる黄褐色の焼き菓子が整然と並んでいる。 「あら、羽黒ちゃん上手にできたじゃない」 和装に割烹着の艦娘が羽黒に笑いかける。 艦隊の母、軽空母 鳳翔 だ。 「は、はい。あの、ありがとうございます」 羽黒がぺこりと頭を下げる。 ラードを練って作ったサクサクのクッキーをバスケットに取りながら羽黒は、 はにかんだ笑顔を浮かべる。 第五戦隊を構成する妙高型4姉妹は連日出撃を繰り返しており、即応待機からも外されて ここ数日は完全な非番である。 那智と足柄に至ってはドッグの空きに提督に無理矢理押し込められるようにして入渠中だ。 そうでもしないと大破するまで出撃を繰り返しかねない、とため息まじりに提督が 苦笑いするのを羽黒は見ていた。 3-1-B 『提督は優しいのですね』 とドッグ入りする二人を見送りながら榛名が提督の傍らで微笑んでいたのが羨ましかった。 -私も提督の傍にいたい。できれば、手、なんかつないだり…… だが、自分の引っ込み思案な性格を熟知していた彼女にはそれは難問だった。 悩みに悩んだ挙句、彼女は艦隊の母、鳳翔に相談を持ち掛けた。 いつもなら姉たちに相談をするところだ。 だが、提督と同衾しているところを目撃してしまってからは姉たちと提督の話をするのが どうも気が引ける。 二人の姉、那智と足柄に至っては、酒が入ると体位がどうの口での奉仕がどうのと 大和撫子にあるまじきはしたない猥談を長女の妙高に注意される始末。 その妙高も提督とは関係を持っているのは周知の事実であり、羽黒からすると余裕すら 感じられる。 そこで、艦隊でも古参であり、提督の事も良く知っている鳳翔に駆けこんだのだ。 話を聞いた鳳翔は穏やかな笑顔で話を聞き終わると 『やはり、殿方を落とすのは胃袋からね』 と言って初心者でも簡単にできるクッキーの焼き方を付きっきりで教えてくれたのだ。 『提督はお酒を飲まれるし、初心者の羽黒ちゃんでも作れる甘さ控えめの中華クッキーに しましょう』 こうして、今、半日かけた羽黒の苦心がまず一つ報われようとしていた。 「……喜んでくれるかな」 幸せそうな羽黒の笑顔を横からニヤリと半月に笑う顔が覗き込んだ。 「そうだねぇ、甘さ控えめは呑ん兵衛の提督向きだからね~」 「えっ、その、あの、隼鷹さん」 元が客船だからか、意外にも料理が得意な隼鷹がからかう。 この軽空母は軟派なふりをして意外と洞察力に定評がある。 「ち、ちち、ち、ち、違いますから、私、その、ごめんなさい!」 「ひゃっはー、図星かな~」 顔を真っ赤にして羽黒はバスケットをテーブルに置くと速力一杯で厨房を飛び出していった。 「ちょっと隼鷹、意地が悪いわよ」 「たはは、めんごめんご。にしても素直で可愛いねぇ」 陽気な軽空母は姉妹の飛鷹に窘められても、あまり反省した様子は無かった。 「そうね、可愛いわね」 そっと後片付けを始めながら鳳翔は柔らかく笑った。 「でも余程恥ずかしかったのね、クッキー忘れてるわ。あの娘」 鳳翔の一言で軽空母姉妹は顔を見合わせて同じように幸せな笑いを浮かべた。 3-2-A 「さて、終わった。片づけたら飯でも行こうか」 「はい。提督」 穏やかに微笑んだ太眉の艦娘が机上の帳簿や資料をまとめ始める。 事務机の上には戦闘詳報や沖ノ島海域の航空写真、敵情などのファイルが開かれている。 休日とはいえ現在、艦隊は作戦行動中である。 艦隊が休んでいる間、つまりは出撃していない間にこそ編成や資源割り当ての準備を 済ませておかなければならない。 事務方が忙しいのは昔から変わらない。 『海軍軍人たるもの地上勤務など希望してはいけない』 と西村提督は言っていたが書類を決済できる”提督”はこの鎮守府には一人しかいない。 書類が山になるのも仕方がない。 特に沖ノ島海域の攻略が始まってから遠征艦隊の編成と入渠作業で提督の手はいっぱいである。 あれやこれやと最近は深夜まで作業が続く事も多い。 今日のところは朝から手伝いに来ていた妙高のおかげもあって作業は順調に片付いていた。 「すまないな、朝から。おかげで助かった」 「いえ、お役に立ててうれしいです」 妙高はてきぱきと資料類を片していたが、ふと手を止め提督を見つめた。 何のことはない平凡な顔立ちの男。 特に上着を脱ぎノータイのシャツというラフな格好の今は特にそう感じる。 だが潮風と爆炎に鍛えられた心と体がその中に隠れている事を妙高は知っていた。 潮気とでも言うべきか。 艦娘達が共通して愛する海軍の男に纏われる独特の色気。 かつて彼女達を指揮していた艦長、司令といった男たちの持っていた香り。 幾度も共に死線を越えるうちに確実にこの男はその香りを強く纏い始めている。 幾度も共に死線を越えるうちに妙高はこの男に特別な感情を持ち始めていた。 はしたないと思いながらも自ら望んで、戦闘の火照りを鎮めるために体を重ねた夜も 多々あった。 しかし、最近はとんとご無沙汰である。 彼が深夜まで書類と格闘していることは鎮守府の誰もが知っている。 彼女自身や那智、愛宕や不知火といった事務処理に比較的長けた艦娘達が仕事を手伝うのが 慣例だ。 そしてその後、寝室まで共にしてしまう艦娘も多い。 妙高は提督の体を慮ってそのまま部屋を辞するようにしている。。 特に二人の妹は完全勝利目前で撤退した時など戦闘の穴を埋めるかのように提督の体を求めた。 秘書艦の仕事を終えて執務室を退出する自分と入れ違いに扉に突撃する足柄や、冷静さを 装いながら手と足が同時に出ている那智とすれ違った事も一度や二度では無い。 自分の慎ましさが恨めしい。 だが。 休日。仕事終了。二人きりの部屋。 ライバル?の艦娘達はほとんど鎮守府を出払っているか疲労で休養中だ。 最も警戒すべき足柄と那智の二人は現在入渠中。 13万5千馬力を誇る機関がうなりを上げ20.3サンチ主砲に仰角がかかる。 天佑ワレニアリ。全軍突撃セヨ。 もじもじと顔を赤らめていた妙高だが意を決したように提督に声をかける。 「あの提督……エッチしましょう!」 3-2-B 「…………へっ?」 唐突すぎる妙高の申し出に提督の時間が止まる。 顔を真っ赤にした妙高は両手をグーに握りしめ提督を見つめる。 「最近、ご無沙汰ですしっ……いえ、はしたないのは重々承知ですがっ」 「そ、そうだね」 ずいと顔を近づけてきた妙高に気圧されて提督が椅子の上でのけぞる。 「ダメ、ですか……」 八の字になった眉毛の下で上目遣いの瞳が潤む。 ゆっくりと頭を振って提督は真剣なまなざしを返した。 「ダメじゃないよ」 ホッとした微笑が提督の視界で大きくなる。 白手袋に包まれた彼女の細い指が優しく顔を包んだ。 熱い唇が彼のそれに重なる。 「…んっ……ちゅっ、ちゅちゅっ……んぁはぁぅ」 そっと妙高の肩に提督の手が置かれる。 そのまま男の胸に艦娘は体を預ける。 心がジンジンとしびれ動悸が高まる。 同時に羞恥心が薄れ、本能が頭をもたげていく。 ほどなく妙高はするりと提督の口内に舌を割り込ませる。 「ちゅっ……んん、ふ……んぷっちゅぅ」 前歯の裏側をくすぐり舌先と舌先を重ねる。 観念したかのように提督の舌が呼応してチロチロと舌先を絡めてくる。 「んぶぅっ……んっんっんっんっ……ちゅぷぅるぅぅ…んぅっ」 次第に大胆になっていく提督の舌の動きに合わせるように妙高はより深く舌を差し入れる。 提督の舌が妙高の舌を完全に捉え完全に絡み合う。 「れろぉ、ちゅぷっ……んぐ、ぅうううんっ……んふぅぅぅぅぅ、んぁふぅぅんっ」 反対に差し入れられた提督の舌が妙高の口内を優しく撫で始める。 舌の裏を、歯茎を、奥歯をくすぐられて妙高の鼻から甘い息が漏れる。 口内に侵入する男の唾液を夢中で舌ですくい集め嚥下する。 胃に落ちていく熱い体液が体の内から抱きしめられる錯覚に妙高を包む。 そのままそっと提督の股間に手が触れる。 硬く熱いものが脈打ってるのがわかる。 ジュンと股間が潤い熱い愛液がショーツを濡らす。 動悸はさらに高まり、思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。 -ああ、提督のおちんちん、もうこんなになってる…欲しい。 メスの本能をさらけ出し始めている自分が恥ずかしい。 しかし、愛欲に蕩け始めた脳はそれを甘受し、あまつさえその後の行動を催促する。 「ぷはぁ、はぁはぁ……提督、これ大きくなってます」 妙に手慣れた手つきでジッパーを下げ陰茎を露出させる。 既に力を漲らせていた怒張が天を突くように飛び出した。 「え?、ちょっと、妙高?」 「お疲れでしょうから、私がお口で……はむ、んふぅ」 提督が止める間もなく妙高は提督のペニスにしゃぶりついた。 「ちゅぷっ、ちゅぷっ、ちゅ、んんん……んふぅ、ちゅぷ……じゅるるる」 長いストロークでペニスに引き延ばされるかのように唇が歪む。 じゅぷじゅぷじゅぷ、と淫靡な水音が規則的に室内に響く。 提督が快楽に負け腰を椅子に落として妙高に身も心も委ねたその時。 執務室のドアから遠慮がちなノック音が聞こえた。 「あの、は、羽黒です。提督、いらっしゃいますか?」